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2021 年度 実施状況報告書

霊長類における身体障害個体に対する情動と社会関係:身体的ハンデは社会的ハンデ?

研究課題

研究課題/領域番号 20K14275
研究機関京都大学

研究代表者

櫻庭 陽子  京都大学, 野生動物研究センター, 特任研究員 (50797602)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード霊長類 / 動物心理 / 態度 / 身体障害
研究実績の概要

本研究では身体障害がある霊長類やその群れメンバーを対象に、身体障害の有無が群れメンバーとの関係や社会的立場に影響があるかを目的に行動観察をしている。2021年度は転職により職場と業務が大きく変わった年であり、かつまだ新型コロナウィルスの影響があったが、共著論文1本、沖縄こどもの国でのインタビュー調査、高知県立のいち動物公園でのチンパンジー観察を行うことができた。
共著論文では、前の職場で行っていた共同研究が形になったもので、関節の動きが正常・異常の動画をチンパンジーに見せたときに、どこに注目するかをアイトラッキングを用いて計測した実験である。
沖縄こどもの国では、2020年に生まれたチンパンジーのこどもが股関節の骨形成不全のために歩き方がおかしいことから相談を受け、Zoomを用いて状況を確認して視察・観察に行く予定だった。しかしコロナウィルスの感染症拡大により延期になり、その間に子どもが亡くなってしまい、急遽インタビュー調査に切り替えた。このインタビューを文字起こしし、テキストマイニングにより、生前のその子どもと母親並びに他個体との行動や反応を分析する予定だ。
高知県立のいち動物公園では、以前から行ってきた脳性まひのチンパンジーの観察を継続する形だったが、これも新型コロナウィルスの影響により、数回しか訪問できなかった。しかし一年開けずに観察でき、またそのチンパンジーが3月からほかの個体と一緒に過ごす時間が作られたことにより、社会的な行動がどのように構築されていくのか、今年度の研究活動は非常に重要だと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度に職場が京都市動物園から豊橋総合動植物公園に変わり、科研費に関わる研究活動は京都大学の方に籍を置いて行うため、休日に研究活動を行う必要がありなかなか進んでいない。また現職場では今まで経験していない飼育作業がメインとなったため、職場や業務への慣れに時間がかかり、休日も休息に使うことが多かった。さらに、新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言やまん延防止措置等でなかなか他園に行くことが難しかったことも挙げられる。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルスの新規感染者数が落ち着いてきて、ワクチン接種も進んできたこと、新しい職場や業務に慣れてきたことから、今年度は積極的に他園での観察を進めていく予定だ。もちろん、ワクチン接種とマスク着用・手洗いうがいの徹底はしていく。
またメインの飼育業務中では難かしい研究活動は休日に行わなければならなかったが、職場での理解が進み、業務としての出張や長時間の観察にも協力を得られる可能性が出てきた。このことから、園内の霊長類を比較対象として観察を進めていくことが可能となり、同時に日本モンキーセンターでの観察も進めていきたい。
また脳性まひチンパンジーの観察及びビデオ分析、障害がある個体と群れメンバーに関する飼育スタッフのインタビュー内容のテキスト分析を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Great apes’ understanding of biomechanics: eye-tracking experiments using three-dimensional computer-generated animations2021

    • 著者名/発表者名
      Sato Yutaro、Kitazaki Michiteru、Itakura Shoji、Morita Tomoyo、Sakuraba Yoko、Tomonaga Masaki、Hirata Satoshi
    • 雑誌名

      Primates

      巻: 62 ページ: 735~747

    • DOI

      10.1007/s10329-021-00932-8

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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