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2022 年度 実施状況報告書

霊長類における身体障害個体に対する情動と社会関係:身体的ハンデは社会的ハンデ?

研究課題

研究課題/領域番号 20K14275
研究機関京都大学

研究代表者

櫻庭 陽子  京都大学, 野生動物研究センター, 特任研究員 (50797602)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード霊長類 / 動物心理 / 態度 / 身体障害
研究実績の概要

本研究では身体障害がある霊長類やその群れメンバーを対象に、身体障害の有無が群れメンバーとの関係や社会的立場に影響があるかを目的に行動観察をしている。2021年度に転職による職場と業務内容が大きく変わり、当該年度は2年目となるため研究活動もしやすくなっているだろうと予想していたが、ほかの業務を任せられる場面も多くなり、あまり研究を進められなかった。当該年度は高知県立のいち動物公園でのチンパンジーの観察、ビデオ分析、インタビュー内容の分析を主に進め、そのほか、別の研究テーマで参加したシンポジウムや研究会で訪れた動物園等で認知実験用の写真等の収集を行った。
高知県立のいち動物公園では、以前から行ってきた脳性まひのチンパンジーの観察を継続する形で、脳性まひのチンパンジーがほかの個体と一緒に過ごす時間が作られるようになったことで、身体障害個体とそのほかの個体との社会行動についてわかってきた。現在は一対一での同居だが、執拗な攻撃は見られなかった。一方で、障害個体がもう一個体にものを投げて気を引こうとすると、その瞬間に怒られる等の行動が見られた。これらのことから他個体との接し方を学んでこなかった人工哺育の影響の方が大きいことが予想された。飼育スタッフとの話で、今後は個体を増やして、挨拶の仕方やグルーミングのやり方等を学ぶ機会を増やすことを考えているとのことだった。
また、昨年度の沖縄子どもの国で行ったインタビュー内容の分析を行ったところ、同年代の個体が身体障害個体の行動をまねるという回答を得た。このような内容は野生のチンパンジーでも観察されており、身体障害個体の行動がほかの個体の行動に影響を与えることも確かめることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本業の動物園での飼育及び教育活動、さらに2年目となるため、責任ある仕事やほかの業務を任されることも多くなり、残業も増え、研究活動に費やせる時間と体力が厳しい状態が続いた。休日等も研究活動に費やす時間を確保することが難しい状態になり、集中力が必要なビデオ分析やほかの動物園でのデータ収集等がうまく進まなかった。

今後の研究の推進方策

脳性まひチンパンジーの観察及びビデオ分析、障害がある個体と群れメンバーに関する飼育スタッフのインタビュー内容の分析を進め、論文化ができていなかったデータも用いて、身体障害があるチンパンジーを対象にした研究を論文化し、投稿することを目指す。
また、遅れている認知実験の準備を進め、今年度中にできるところまで進めていく。

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公開日: 2023-12-25  

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