研究課題/領域番号 |
20K14279
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中嶋 祐介 京都産業大学, 理学部, 助教 (20783096)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ダイマー模型 / 団理論 / 組合せ的変異 / トーリック特異点 / グラスマン多様体 / クレパント特異点解消 / 非可換クレパント特異点解消 / トーリック退化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「変異」という操作と、その背後にある「団構造」に注目し、様々な可換環や代数多様体の特異点を考察することである。今年度は以下の2点について研究を行なった。
(1) 円板上に描かれた二部グラフは、plabicグラフあるいは円板上のダイマー模型と呼ばれる。Plabicグラフから得られる組合せ論的データから、グラスマン多様体の団構造が導かれることが知られている。一方、plabicグラフからは、Newton-Okounkov多面体を構成でき、この多面体はグラスマン多様体のトーリック退化を与える。昨年度までの研究により、plabicグラフに対する「変異」という操作とNewton-Okounkov多面体に対する「組合せ的変異」という操作が関連すること、そしてそれらが Gelfand-Tsetlin多面体・FFLV多面体といった表現論で重要な多面体と関連することを考察していたが、今年度はその考察を精査し、論文にまとめた(東谷章弘氏との共同研究)。当該論文はAdvanced Studies in Pure Mathematicsから出版予定となっている。
(2)トーラス上のダイマー模型(トーラス上に描かれた二部グラフ)からは、3次元Gorensteinトーリック特異点のクレパント特異点解消および、非可換クレパント特異点解消が構成できることが知られている。これらは一意的に存在するとは限らないが、安定性条件の壁越え・変異という概念により関連付けられる。一方、上記の特異点解消をダイマー模型の視点から調べる際に重要な概念として「完全マッチング」がある。今年度の研究では、安定性条件の壁越え・変異により完全マッチングがどのように変化するかを、特定のトーリック特異点に関して考察した。本研究に関しては、現在論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
円板上のダイマー模型の変異と、関連する多面体の組合せ的変異の関係についての統一的な理解を得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに考察を進めてきた「組合せ的変異」について、周辺分野との関わりを調べる予定である。特に、多面体に付随するトーリック多様体や、その多様体の持つ特異点が組合せ的変異によって、どう振る舞うかを考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、多くの研究集会がオンラインでの開催となり、予定していた旅費の使用がなかったため。繰り越し分は、事態が落ち着いた後に開催が見込まれる研究集会や、研究打ち合わせのための旅費とする予定である。
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