研究課題/領域番号 |
20K14282
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
中島 規博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90732115)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超平面配置 / 高階自由配置 / 誤り訂正符号 / コバウンダリー多項式 / ハミング多項式 |
研究実績の概要 |
本研究では、1.高階自由配置の特徴づけや性質の解析、2.超平面配置のコバウンダリー多項式の明示式の計算を目的とする。2に関して、コバウンダリー多項式の計算には、交叉半順序集合の構造、交叉半順序集合の任意の元に対する超平面配置の制限の特性多項式、局所化の要素数の決定が鍵となる。2020年度は、Shi配置のコバウンダリー多項式を計算するために、スピーシーズの理論を使って交叉半順序集合の元に対する制限がどのような超平面配置になるかを調べたが、非常に複雑な場合分けが必要になるため、すべてを決定することはできなかった。そこで発想を変えて、Athanasiadisなどにより研究されていた有向グラフから定まる超平面配置を参考にして、拡張Shi配置と拡張Catalan配置を含みかつ超平面の制限で閉じたクラスを定義した。また、この制限で閉じたクラスは、超平面配置がhereditarily freeであるかどうかを調べるのに有効であることもわかった。ここで、Orlik-TeraoによりすべてのCoxeter配置がhereditarily freeであること、Hoge-Roehrleにより複素鏡映配置がhereditarily freeであることが知られていたが、拡張Shi配置と拡張Catalan配置がいつhereditarily freeであるかは知られていなかったので、研究の方針を変え、拡張Shi配置と拡張Catalan配置がそれぞれ、いつhereditarily freeであるかを決定した。本研究は北海道教育大学の辻栄周平氏との共同研究であり、本成果をまとめたプレプリントを執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は超平面配置のコバウンダリー多項式の計算を目的としていたが、Shi配置のコバウンダリー多項式の計算は複雑であることがわかってきた。一方で、研究の過程で得た発想から、未解決であった「拡張Shi配置と拡張Catalan配置はいつhereditarily freeであるか?」という問題が解決できたため、全体として「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
上記に述べた制限で閉じたクラスを使ってShi配置のコバウンダリー多項式が計算できるかどうかを調べる。制限が自由配置になる場合には、Teraoの分解定理により特性多項式がわかるので、自由配置にならない場合の特性多項式が計算可能かどうかを調べる。 また、グラフ配置はfreeであることとinductively freeであることが同値であることが知られている。上記のクラスでfreeとinductively freeが同値であるかどうかを調べる。 最後に、高階自由配置について、3次元配置は十分大きな階数に対して高階自由であることがわかっている。この結果の証明には、3次元の場合に交叉半順序集合の元の局所化がすべて高階自由であることが使われている。4次元以上の場合に、交叉半順序集合の元の局所化の高階自由性と超平面配置の高階自由性の関係を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症により出張ができなかったため次年度使用額が生じた。2021年度以降、対面での学会や研究打ち合わせが可能になれば出張旅費として使用する。また、オンライン発表のための機材が必要になる場合には、状況に応じて機材の購入費として使用する。
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