研究課題/領域番号 |
20K14282
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
中島 規博 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90732115)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超平面配置 / コバウンダリー多項式 / 高階自由配置 / 誤り訂正符号 / ハミング重み多項式 / 特性準多項式 |
研究実績の概要 |
本研究では、1.高階自由配置の特徴づけや性質の解析、2.超平面配置のコバウンダリー多項式や明示式の計算を目的とする。2022年度の研究では、コバウンダリー多項式の特殊値として得られる特性多項式の一般化である特性準多項式の研究を進めた。特に、2021年に研究を始めていた標準基底で表示されたBCD型Coxeter配置の特性準多項式の研究と、並行してB型Shi配置に関連する配置の特性準多項式の研究を進めた。 BCD型Coxeter配置の特性準多項式の研究では、2021年の段階で、すでに標準基底で表示されたBCD型Coxeter配置を含むようなクラスの配置の特性準多項式を求めており、2022年は計算結果をまとめたプレプリントを執筆した。さらに、本結果を使ってB型やC型のCoxeter配置からいくつかの超平面を取り除いて得られる配置の特性準多項式の計算をしており、現在、2022年に執筆したプレプリントに結果を書き足している最中である。 HIGASHITANI-TRAN-YOSHINAGAにより、「Shi配置から1組の平行な超平面を除いて得られる配置の特性準多項式は多項式になるかperiod collapseが起こるかのどちらかである」という予想が提唱されている。これに関連して、B型Shi配置の場合に先述の予想が正しいかどうかの検証を行った。予想の解決のために、何種類かのShi配置に似た配置の特性準多項式を調べる必要があることがわかっており、そのうちいくつかに関しては一定の成果を得ている。本研究は大阪大学の東谷氏との共同研究である。 また、2022年6月に研究代表者として研究集会「誤り訂正符号と超平面配置の関係とその応用」を開催し、ハミング重み多項式とコバウンダリー多項式の関係について関連する研究者に周知した。「コバウンダリー多項式の準多項式化をしてみるのはどうか?」などの意見が出ており、今後の研究の参考とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年までの研究でA型拡張Shi配置・A型拡張Catalan配置が遺伝的自由(hereditarily free)であるための条件を決定しており、自由配置の研究に関しては一定の成果を得ている。一方で、コバウンダリー多項式の研究に関しては研究がやや遅れているため、コバウンダリー多項式と関連する研究対象である特性準多項式まで広げて研究を進めている。特に、現在も研究中のShi配置から1組の平行な超平面を除いて得られる配置の特性準多項式に関する研究を進める。これらを総合して、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、まずは現在進行中の HIGASHITANI-TRAN-YOSHINAGA による予想のB型Shi配置に関する研究を行う。本研究を進める中で、何種類かのB型Shi配置に近い配置の特性準多項式が多項式であるかどうかを判定する必要があることが分かってきている。特性準多項式のDeletion-Restriction公式を使うなどして、それらの配置の特性準多項式を決定し、多項式であるかどうかを判定する。 同時進行で、A型拡張Shi配置の制限配置の自由性に関する研究を行う。2021年度までの研究において得た有向グラフのcontractionとA型拡張Shi配置の制限配置の関係を使って、理論的にどのような制限配置が自由配置になるかの研究を行う。 また、昨年度に引き続き、研究代表者は2023年6月に開催される研究集会「離散構造における不変量の研究」などで、ハミング重み多項式とコバウンダリー多項式の変換公式に関する講演をする予定である。超平面配置・符号理論の研究者に本研究を広めることで、関連分野の研究者の意見を取り入れながら研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症により出張ができなかったため次年度使用額が生じた。2023年には、予定している海外出張などの出張旅費として使用する。また、出先での計算のため、高性能なノートパソコンを購入する。
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