予定通り、BonnのHausdorff Research Institute for Mathematicsで行われたThe Arithmetic of the Langlands ProgramというTrimester Programに参加し、情報収集や共同研究を行った。 局所対称空間や志村多様体のコホモロジーの消滅定理についての共同研究を進めた(Sug Woo Shin氏との共同研究)。将来的に必要があると思われる組合せ的に複雑な計算をいくつか行った結果、期待通りの結果が得られる目算が高まった。 Fargues-Scholzeによる局所Langlands対応の幾何化を被覆群に対しても行う共同研究を引き続き進めた(Tony Feng氏、Ildar Gaisin氏、今井直毅氏、Yifei Zhao氏と共同)。技術的な障害を特定していきながら、少しづつそれらを解消しているところである。 対数的プリズマティックコホモロジーについても、IAS訪問を機にstackyアプローチについての理解を深めたり、他の研究者との交流を行った。 また、圏論的局所Lanlands予想についていわゆる「連接層側」についての基本的な計算(「表現側」で知られている圏の構造に対応することが「連接層側」でも成立すると期待されるが、それを直接計算する)を行い、Bertoloni Meli氏との共同研究が始まった。これらの計算はより一般的な予想を示唆し、これについてもいくつかの進展を得ることができた。特にArthurパラメーターに対応する一般化された意味でのHecke固有層というものを構成することに成功し、現在その性質を調べているところである。例えば、これらの結果は圏論的局所Langlands予想とより古典的なAパケットあるいはABVパケットとの関係を与えると期待している。
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