研究課題/領域番号 |
20K14285
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南出 新 京都大学, 数理解析研究所, 特定助教 (60802717)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遠アーベル幾何 / 完備離散付値体 / 絶対ガロア群 / 強内的非分解性 / エラスティック性 / アルティン・シュライアー理論 / 単遠アーベル的復元アルゴリズム / 宇宙際タイヒミューラー理論 |
研究実績の概要 |
2021年度は、(前年度に引き続き)辻村昇太氏と共同で(局所体の一般化である)完備離散付値体の遠アーベル的性質について研究を行った。具体的には、例えば、次のような結果を得た。以下、体Kに対し、その絶対ガロア群をG(K)と書くことにする。 (1) 遠アーベル幾何と密接に関連した群論的性質として、副有限群の強内的非分解性(=任意の開部分群Hに対して、その非自明正規閉部分群のHにおける中心化群が自明)、エラスティック性(=任意の開部分群の位相的に有限生成な非自明正規閉部分は開)というものがある。例えば、Kが(a)剰余体が標数pの無限体である混標数完備離散付値体であり、かつ、(b)1の原始p乗根を含む場合、G(K)の任意の概副p最大商が強内的非分解性、エラスティック性をみたすことが前年度の研究により示されていた。一方、この結果が(b)を仮定しなくても成り立つか、という問題は未解決であった。この問題を解決するためには、(b)を仮定しない状況で、系統的に適切な巡回p拡大を構成することが鍵となる。そこで我々は、まず古典的な「標数0のアルティン・シュライアー理論」に着目し、その精密化を行った。そして、この精密化と前年度に用いた手法を組み合わせることで、上述の問題を肯定的に解決した(論文投稿中)。 (2) Kを剰余標数p>0の完備離散付値体とする。剰余体が有限体の場合、G(K)からpを復元する単遠アーベル的復元アルゴリズムが存在することが古典的に知られていた。我々は(前年度の研究により示されていた)G(K)が強内的非分解性をみたす、という結果を応用することで、上述の古典的事実を剰余体が任意の(標数pの)体の場合に一般化した(その他の結果も加えた上で、論文準備中)。
また、望月新一氏、星裕一郎氏と共同で宇宙際タイヒミューラー理論のある改良版について、その明示的計算に関する研究も行った(論文準備中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
懸案となっていた、1の原始p乗根を含むという仮定を外せるか、という問題を肯定的に解決することができた。また、当初想定されていなかったような結果(=例えば、剰余体が標数pの無限体である混標数完備離散付値体の副p絶対ガロア群の位相的有限生成閉部分群の自由性)や応用(=強内的非分解性の単遠アーベル的復元アルゴリズムへの応用)が見出されたことも、意義深いと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2020-21年度に得られた結果の発展・応用・精密化を模索していく予定である。また、研究計画調書に記載した本研究課題に対するアプローチは大きな発展の余地があると思われるので、引き続き検証していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルス蔓延により出張を行うことができず、旅費を使用することができなかった。 (計画)次年度使用額は、旅費、あるいは、新たに必要となった、研究関連書籍の購入に充当される予定である。
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