研究課題/領域番号 |
20K14297
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
榎園 誠 東京理科大学, 理工学部数学科, 助教 (30843461)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Zariski分解 / 消滅定理 / Reider型定理 / 拡張定理 / ゴナリティー |
研究実績の概要 |
当該年度は、主に代数曲面上の因子に関するZariski分解の整数係数版を導入し、そのいくつかの応用を与えた。以下に具体的な内容を記す。 Zariskiは、曲面上の有効因子が有理数係数のネフ有効因子と有理数係数の負定値有効因子に一意的に分解されることを示し、この分解は今ではZariski分解と呼ばれている。一方で、有効因子が通常の(整数係数の)因子であっても、この分解に現れる二つの因子は整数係数とは限らない。本研究では、正規曲面上の(擬)有効因子がある種の正値性を持つ因子(以下整正な因子と呼ぶ)と負定値な有効因子に一意的に分解されることを示した。また正規曲面上の巨大かつ整正な因子に対し、コホモロジーの消滅定理を示した。これは曲面の場合の川又-Viehweg消滅定理の自然な一般化である。この応用として、随伴線形系に関するReider型定理を相対的な場合を含む形に一般化し、簡単な証明を与えた。またSerranoにより示されていた非特異曲面上の曲線上定義された射の拡張定理を、曲面が特異点を持つ場合や、曲線が既約とも被約とも限らない場合に一般化した。この拡張定理により、これまで計算することが難しかった重み付き平面曲線のゴナリティーなどを、重みやその曲線の次数を用いて評価することが出来た。他にも正規曲面上の線形系に対して、その(特異なものも含む)メンバーである曲線の(擬)ゴナリティーが不変であることの十分条件を求めることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の研究対象は、主に曲線上の一般型曲面束であり、曲面の理論と高次元代数多様体の理論を研究手法として用いる。当該年度の研究により、曲面の一般論を進展させることが出来た。一方で、当該年度は多くの研究集会が中止または延期となり、本研究に必要な(主に高次元代数多様体に関する)知識を効率よく得ることが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の研究方策は、主に曲線上の(1,2)-曲面束の相対標準写像の理解を深めることである。2次Hirzebruch曲面束の2重被覆を考えることで(1,2)-曲面束を再構成する立場から、相対標準写像を調べる。また2重被覆の分岐因子を解析することで退化ファイバーの分類を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、感染症の流行などにより多くの研究集会などが中止または延期になり、旅費として使用する予定であった分が使えなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は研究集会などへの旅費のほか、数値計算用のコンピューターや研究に必要な知識を得るための文献を購入するために助成金を用いる予定である。
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