群の線型空間への線型な作用を表現といい、その構成要素に重複が起こらない表現は無重複であるといいます。Lie群の表現の無重複性を統一的に扱うことを目的として、複素多様体に対する可視的な作用の理論が東京大学の小林俊行教授によって導入されました。本研究により、コンパクトLie群の可視的作用から非コンパクトLie群のそれが得られることが分かり、さらに、作用の可視性から楕円型軌道上の線束のDolbeaultコホモロジー空間の無重複性が従うことが分かりました。特に後者の結果により、小林氏が10年以上前に提示していた問題を肯定的に解決したことになります。
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