研究課題/領域番号 |
20K14312
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
加葉田 雄太朗 長崎大学, 情報データ科学部, 助教 (40830097)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 曲線 / 曲面 / 特異点論 / 直行射影 / 接触 |
研究実績の概要 |
[A. 曲線や曲面の微分幾何学的研究] 曲線や曲面の局所微分幾何学的な性質の研究は古典的な題材であるとともに、可積分系との関連や視覚の数理など他分野への応用という観点からも重要である。一方、曲線や曲面には退化した点が自然に現れ、そのような点での性質の研究は困難であることが多い。本研究では、曲線や曲面の退化点における適切な標準形や接触モデル部分多様体を考えるという写像の特異点論的アプローチを取ることで、曲線や曲面の新しい微分幾何学的性質を発見している。例えば共同研究によって次のような研究を行なった。(A-1)空間内の線織面の局所的な標準形を決定しflecnodal curveなどの幾何的に重要な曲線を解析した。(A-2)空間内の曲面の放物点における適切なモデル部分多様体を発見し、その接触の仕方による曲面の局所的な分類を与えた。 [B. 曲線や曲面の射影に関する研究] 直行射影に関して空間内の曲線や曲面とその射影像の関係を研究している。例えば共同研究によって次の研究を行なった。(B-1)曲面の直行射影にはしばしば複雑な特異点が現れその曲面の幾何的な性質による特徴づけはこれまで困難であったが、我々は上記(A-2)で得られた曲面の放物点における新しい幾何学的性質を用いることでいくつかの特異点に対して完全な特徴づけを得た。(B-2)平面から平面への写像の余階数2の特異点の判定法を開発し、それを応用してクロスキャップ曲面の射影像の性質を解析した。 上記の研究成果の1部をオンライ研究集会で発表している。また、本研究の視覚科学など多分野への応用を実現するために、CG、CVなど様々な分野の研究者に積極的にアポイントメントを取り情報交換を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルスの流行に伴い予定していた研究打ち合わせのための出張ができなくなったが、zoomなどのツールを使うことで共同研究を一部を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、2つのテーマに沿って研究を行なっていく。また、それらの応用研究も本格化させていく。特に、応用研究のために様々な分野の研究者との交流を行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大に伴い、予定していた出張に行けなくなったことが次年度使用額が発生した主要な原因である。コロナウイルス感染が落ち着き次第、共同研究のための出張を計画する。また、オンライン打ち合わせのためのPCやタブレットの購入にも次年度使用額を利用する予定である。
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