研究課題/領域番号 |
20K14317
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
野崎 雄太 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (40822648)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ホモロジーコボルディズム群 / 指標多様体 / ホモロジーシリンダー / Reidemeister トーション / A 多項式 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、整ホモロジー3球面のなすホモロジーコボルディズム群を指標多様体を通して理解することである。ホモロジーコボルディズム群は、高次元多様体の3角形分割と密接に関係があり、トポロジーにおける重要な研究対象である。具体的には、指標多様体を用いた Chern-Simons 汎関数の計算手法について Ben Mares 氏(m2hycon GmbH)と研究打ち合わせを行った。 また、北野晃朗氏(創価大学)との共同研究において、Reidemeister トーションを指標多様体上の関数と見たときの振る舞いについて、結び目の A 多項式を用いて調べた。特に代数的に興味深い現象を捉えることに成功し、その成果をまとめた論文が Transactions of the London Mathematical Society から出版された。 さらにホモロジーコボルディズム群と関連してホモロジーシリンダーの研究も行なった。具体的には、佐藤正寿氏(東京電機大学)と鈴木正明氏(明治大学)との共同研究において、ホモロジーシリンダーに対する非可換 Reidemeister-Turaev トーションを構成し、その性質を調べた。特に榎本-佐藤トレースおよび LMO 関手の1ループ部分との関係を明らかにし、その成果をまとめた論文は Transactions of the American Mathematical Society から掲載が受理された。以上の研究成果を国際集会 The 18th East Asian Conference on Geometric Topology などで発表した。 また、国際集会「Mapping class groups and Quantum topology」を主催し、本研究に関連する情報収集や議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Chern-Simons 汎関数の計算で重要となる指標多様体や A 多項式への理解が深まり、それに関する論文が Transactions of the London Mathematical Society から出版された。さらに非可換 Reidemeister-Turaev トーションを通してホモロジーシリンダーに対する知見が整理され、その成果をまとめた論文が Transactions of the American Mathematical Society から掲載が受理された。したがって、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究において、指標多様体や結び目の A 多項式さらにホモロジーシリンダーのなすホモロジーコボルディズム群について理解が進んだ。来年度はその成果を基に、Chern-Simons 汎関数や Reidemeister トーションなど指標多様体と関わる関数の研究を推進する。そして整ホモロジー3球面のなすホモロジーコボルディズム群の構造に関して、より詳細な研究へつなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は徐々に対面の研究集会や研究打ち合わせも行うことができた。しかし、新型コロナウイルスが猛威を振るう以前ほどには戻らず、当初の使用計画と比較すると滞ってしまい、次年度使用額が生じた。次年度は、国内の研究集会への参加はもちろんのこと、当初の計画どおり海外の研究集会への出張も予定している。
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