研究課題/領域番号 |
20K14326
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鈴木 航介 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20868674)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 準モンテカルロ法 |
研究実績の概要 |
Partially ordered set 上の数値積分におけるKoksma-Hlawka不等式を開発した。Koksma-Hlawka不等式は単位立方体上の関数の積分誤差を、関数の全変動と積分近似に用いる点集合のディスクレパンシーとの積で上から評価する不等式である。そもそも、Koksma-Hlawka不等式の証明では、単位立方体をメッシュとみることで離散化し、その多次元メッシュに対して Abel summation formula が用いられている。本研究では、この行為を partially ordered set に一般化することを試みた。その結果、適切に partially ordered set 上の関数の全変動および partially ordered set 上の点集合のディスクレパンシーを定義することにより、既存のKoksma-Hlawka不等式を一般化することが可能となった。 また、東京大学の合田隆准教授と共同で、準モンテカルロ法に関する日本語のサーベイ論文を執筆した。本論文は日本応用数理学会論文誌に採択され、すでに出版されている。本論文はディスクレパンシー理論にまつわるKoksma-Hlawka不等式から始まり、格子やデジタルネットといった点集合に関するKoksma-Hlawkaタイプの不等式や、乱択化に関するKoksma-Hlawkaタイプの不等式、高次元における数値計算例など、準モンテカルロ法の話題を網羅するとともに、Koksma-Hlawka不等式のこれまでの研究をまとめたものとなっている。本論文はオープンアクセスであり、これまでの研究成果を国内の研究者にアクセスのしやすい形で提供している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Partially ordered set (poset) 上の数値積分におけるKoksma-Hlawka不等式に関しては、関連研究の調査に時間がかかってしまった影響で論文化が遅れている。また、離散化 Sobolev 空間への一般化などの関連研究が見つかった影響により、研究方針の再構築が必要となっている。 サーベイ論文については計画通りに執筆できた。
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今後の研究の推進方策 |
Partially ordered set (poset) 上の数値積分におけるKoksma-Hlawka不等式に関しては、関連研究が見つかった影響により、研究方針の再構築が必要となっている。関連研究と本研究の差分を調査し、発展の方向を模索したい。 また現在、polynomial lattice rule という数値積分則の新たなランダム化手法の研究に取り組んでいる。本研究は、lattice rule という数値積分則のランダム化手法を参考にしたものである。ランダム化したときの分散に関する Koksma-Hlawka不等式を導出することに挑戦する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の影響により、研究集会への現地参加や研究打ち合わせがゼロとなったため、次年度使用額が生じた。本年度は、書籍や論文などへの投資を増やしていく一方で、状況が許せば研究集会への現地参加や研究打ち合わせを行っていきたい。
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