研究課題/領域番号 |
20K14335
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
井上 寛 九州産業大学, 経済学部, 講師 (60791027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非自己共役ハミルトニアン / 一般化リース系 / ギブス状態 / 非有界作用素 / 双準直交系 / クライン空間 |
研究実績の概要 |
実施した研究の成果では、先行研究である非有界作用素を用いた非自己共役ハミルトニアンの構成に関する研究において、一般化リース系の概念とヒルベルト空間の要素列と正規直交基底のテンソル積で定義される閉作用素が重要な役割をすることがわかった。この先行研究の発想と成果を活かし、非自己共役ハミルトニアンとそれから生成される量子力学系の関連性を見出すことができた。 その理由として、本研究の難しいところであり、学術的独自性とその創造性を有するところである、有界作用素ではなく非有界作用素を用いているときに有する問題点を克服できるのではないかという成果を得られたからである。 具体的には、有界作用素を用いたときにはない、定義域の問題があり、非自己共役ハミルトニアンをどのように定義し、その非自己共役ハミルトニアンから生成される量子力学系をどのように定義することが自然であるのかを考える必要がある。 本研究をすすめる上で、非自己共役ハミルトニアンから生成される量子力学系をどのように定義することが自然であるのか、さらに、この量子力学系と通常の自己共役ハミルトニアンから生成される量子力学系との違いを精査し、最も自然で最適な仮定のもとでこの量子力学系の性質を調べることができたことを踏まえ、双準直交系から定義される非自己共役ハミルトニアンを、あるクライン空間上の自己共役作用素として捉え、クライン空間上で量子力学系の性質を調べることにより、より深い関連性を調べることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を遂行する上で、論文"An algebraic approach of non-self-adjoint Hamiltonians in Krein spaces"をJournal of Mathematical Physics (62, 112101)にて採択された。この研究は、ヒルベルト空間上で(正)準形式から定義した非自己共役ハミルトニアンとそれに関わる物理作用素に関する性質と、一般化リース系との関係性を踏まえ、非自己共役ハミルトニアンをクライン空間上で定義し、クライン空間上の自己共役作用素と捉えることにより、その*-代数の構造を研究しており、本研究課題を推進させている。
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今後の研究の推進方策 |
論文"An algebraic approach of non-self-adjointHamiltonians in Krein spaces"を基に、さらにクライン空間上で(正)準形式から定義した自己共役ハミルトニアンとそれに関わる物理作用素に関する性質と代数構造について詳しく研究していく。また、先行研究との関連性をより深く調べることにより、今後の研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ渦で生じた計画の変更である。ただし、この額は少額であり、次年度の研究計画を大幅に変更することはないので、翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画を変更する予定はない。
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