研究実績の概要 |
本年度は双線形擬微分作用素の有界性について,以下の3つの研究を行った. 1.ある滑らかな窓関数の線型結合に対する双線形フーリエマルチプライヤー作用素に関して,その係数とL^2×L^2上の有界性との特徴付けを行った.本研究は,宮地晶彦教授(東京女子大学)と冨田直人教授(大阪大学)との共同研究である. 2.双線形作用素のL^p×L^qからL^rへの有界性を考えるとき,これら3つの指数には,1/p+1/q=1/rという関係式を仮定することが多い.この関係式はヘルダーの不等式に現れるものであり,自然な仮定である.しかし,ごく最近に,(0,0)-型の双線形ヘルマンダークラスの双線形擬微分作用素に対しては,この関係式が必ずしも必要ではないことがわかっている.本研究では,この事実は(0,0)-型特有のものであって,一般の(\rho,\rho)-型クラス, 0<\rho<1, では,この関係式が必ず必要であることを示した.これは,至田直人氏(大阪大学)との共同研究である. 3.(0,0)-型クラスの双線形擬微分作用素に関して,そのウィーナー・アマルガム空間上での有界性とシンボルクラスの重み関数との特徴づけを行なった.この結果は,ルベーグ空間における有界性に対するある種の一般化,改良にもなっている.また,上の項目2で述べた(0,0)-型クラスに特有な事実も本研究の成果のうちのひとつである.本研究は,宮地晶彦教授(東京女子大学)と冨田直人教授(大阪大学)との共同研究である. なお,これらの成果は,すべてarXivで公開している.
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