研究実績の概要 |
2023年度は,本科研費分では,以下のような2つの成果を得ることができた.ともに,宮地晶彦教授(東京女子大学)と冨田直人教授(大阪大学)との共同研究であり,出版準備中,もしくは投稿中である. 1.2010年頃のGrafakos-Pelosoによる論文を発端に,1次斉次な相関数を振動項にもつ双線形フーリエ積分作用素に関する研究ははじまった.その後,Rodriguez-Lopez, Rule, Staubachらはいくつかの論文を経て,その研究をおおきく発展させた.彼らは双線形作用素を単純な2つの線形作用素の掛け算に分解し,線形作用素の有界性に帰着させることで,双線形フーリ積分作用素の有界性を得ている.本研究では,双線形フーリエ積分作用素の典型例である波動作用素の場合について考え,2つの線形作用素の各カーネルを観察することで細かく解析し,2つの掛け算そのものとして扱うことで,彼らの結果を改良することができた. 2.上記成果の自然な一般化として,Rodriguez-Lopezらが扱っていた直積型の振動項をもつ双線形フーリエ積分作用素の有界性について考えた.本研究では,一般の場合でも彼らの結果を改良できることを示した.ここでの本質的なアイデアは,成果1によるものであるため,詳細は省略する.
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