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2021 年度 実施状況報告書

幾何学的高階変分問題の解の性質の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K14341
研究機関東京工業大学

研究代表者

三浦 達哉  東京工業大学, 理学院, 准教授 (40838744)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード曲げエネルギー / エラスティカ / 弾性流 / p-エラスティカ / 弾性結び目
研究実績の概要

本年度は凸曲面に対する Gage 型不等式と軸対称曲面に対する Topping 予想の証明に関する論文が Selecta Math. に、また Topping 予想と極小曲面の直径評価に関する論文が Ann. Sc. Norm. Super. Pisa Cl. Sci. に掲載受理された。また本年度新たに行った研究は以下の通り:
1.昨年度に得られた曲線に対する Li-Yau 型不等式の一つの直接的な帰結として、閉曲線の弾性流が「すべての時間で埋め込みとなる」ための最適なエネルギー閾値が得られる。しかしながら、より自然な問題である「初期値の埋め込み性が保存される」ため閾値については未解決であった。本年度は Marius Mueller 氏と Fabian Rupp 氏との共同研究でこの問題を解決した。この際、特に余次元が 1 か 2 以上かで閾値が大きく異なることを発見し、余次元 1 の場合の閾値を与える新しい形状を発見した。また副産物として、その解析の途中に現れる形状が 8 の字結び目クラスにおける弾性結び目として実験で得られた形状と一致することを発見した。
2.Euler の elastica は平面曲線に対して定まる曲率二乗の積分である曲げエネルギーの(ある束縛条件下での)臨界点であり、その分類は Euler 自身によってなされた。一方、曲げエネルギーの指数を p 乗にした p-elastica については、正則性の喪失や flat-core と呼ばれる特殊な解の出現など興味深い現象が知られていたが、その分類については未解決であった。本年度は吉澤研介氏との共同研究により平面 p-elastica の完全な分類を与え、明示公式や最適な正則性も得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

弾性流の埋め込み保存性をある意味で特徴づけるエネルギー閾値が得られたこと自体も当初の予想にないことであったが、更にその際になされた非古典的な弾性曲線の形状解析が弾性結び目の形状を求めるうえで本質的に必要であろうことが期待され、今後の展望も広がる研究となったと考えられる。
また p-elastica の分類に関しても研究開始当初はより弱い意味での分類を得ることを目標としていたが、研究の道中で適切な p-楕円関数の定義に辿り着いたことにより、古典的な elastica に関して知られていた明示公式を完全に包含する形の分類が得られた。この結果は後続の研究の基盤的な役割を果たすことが強く期待できる。

今後の研究の推進方策

上記の弾性曲線や弾性流関連の研究の進展を受けて、この方面を重点的に推進する計画である。また並行して極小曲面・弾性曲面の研究やその他周辺分野の研究も着手する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナによる出張計画変更のため差額が生じた。本年度の旅費に組み込む予定。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 11件)

  • [国際共同研究] Freiburg University/Ulm University(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Freiburg University/Ulm University
  • [雑誌論文] Geometric inequalities involving mean curvature for closed surfaces2021

    • 著者名/発表者名
      Miura Tatsuya
    • 雑誌名

      Selecta Mathematica

      巻: 27 ページ: 24 pp

    • DOI

      10.1007/s00029-021-00696-5

    • 査読あり
  • [学会発表] Topping の直径予想について2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      東工大幾何セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 曲がる物体の数学解析2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2021 in Osaka
    • 招待講演
  • [学会発表] 曲線の曲げエネルギーと自己交叉2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      筑波大学微分幾何学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Li-Yau type inequality for curves and applications2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      解析学火曜セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Li-Yau type inequality for curves and applications2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      Asia-Pacific Analysis and PDE Seminar
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Variational analysis of self-intersecting elastic curves2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      15th International Conference on Free Boundary Problems
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Optimal thresholds for preserving embeddedness of elastic flows2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      RIMS研究集会(公開型)「発展方程式の広がり: 理論的基礎から実践的応用まで」
    • 招待講演
  • [学会発表] Li-Yau type inequality for curves and applications2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      東北大学 応用数理解析セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] A diameter bound for compact surfaces and the Plateau-Douglas problem2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      楕円型・放物型微分方程式研究集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Variational analysis of self-intersecting elastic curves2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      微分方程式の総合的研究
    • 招待講演
  • [学会発表] 軸対称曲面に対する Topping 予想の証明2021

    • 著者名/発表者名
      三浦達哉
    • 学会等名
      第11回室蘭非線形解析研究会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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