研究実績の概要 |
本年度はオイラー方程式の3次元進行波と関係するベルトラミ場, フォースフリー場ついての研究を中心に行った. 3次元定常オイラー方程式は非対称な解の非存在についての予想があるが(Gradの予想), 非定数係数をもつベルトラミ場についても類似の剛性を考察し, 比例係数の対称性とレベルセットについての条件のもとで, 定常オイラー方程式の場合には得られない非対称な解の非存在についての剛性定理が得られた. この結果はJournal of Mathematical Physicsから出版された. 年度の後半ではベルトラミ場と同等であるフォースフリー場について理想MHDでの安定性の研究を進め, テイラー状態, 非線形フォースフリー場についてルレイホップ解の弱理想極限での安定性の結果を得た. この研究成果はプレプリントを準備中である. この他には2次元オイラー方程式の厳密解であるラムの双極子の軌道安定性を示した結果(K.Choi氏との共同研究)が, Archive for rational mechanics and analysis から出版予定となった. また非定数係数をもつベルトラミ場からなる渦輪の存在を示した論文がCommunications in mathematical physicsから出版された. 2次元ストークス半群の外部領域での時間無限大の評価を示した論文はJournal of differential equationsから出版された. セミナー講演はプリンストン大学, ソウル大学などから招待があり, 国内外11講演全てオンラインで行った. またプリンストン大学, シンガポール国立大学などから8名程度若手研究者を招聘し, K.Choi氏(UNIST), K. Yamazaki氏(テキサステック大学)と準線型偏微分方程式についてのオンライン研究集会を共催した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画ではオイラー方程式の進行波と初期値問題の適切性を調べる予定であったが, ベルトラミ場との関係が分かり, 弱解や理想MHDについても計画を修正し研究課題に含めた. 理想MHDはテイラー予想, 弱解についてはルレイホップ解の非一意性の研究が発表されており, 情報収集に時間を要しているため, 計画よりもやや遅れていると評価する.
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