研究課題/領域番号 |
20K14349
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
深谷 法良 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (30849831)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非線形シュレディンガー方程式 / 孤立波解 / 定在波解 / 基底状態 / 安定性 / 不安定性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の軌道安定性・不安定性を周波数について分類し、さらに漸近安定性や強不安定性などの孤立波解周りの解の大域挙動を解明することである。 林雅行氏と共同で、二つのべき乗型非線形項を持つ非線形シュレディンガー方程式について研究を行った。この方程式は多項式減衰する定在波解(定常解)を持つのが特徴的である。この定常解は楕円型方程式の観点からは研究されているが、分散型方程式の観点からはほとんど研究されていないようである。本研究では、非線形項の指数の大きい方が質量臨界および質量優臨界の場合に、この定常解が強不安定であることを証明した。非線形項の指数が共に質量劣臨界の場合には、この定常解が不安定となるための十分条件を得ることができ、さらに指数減衰する定在波解についても既存の不安定性の結果を拡張することができた。この結果は学術雑誌に掲載された。 誘引的な逆べき乗ポテンシャルと質量臨界な非線形項を持つ非線形シュレディンガーについて、周波数が大きい基底状態定在波解は安定であることを示した。先行研究では基底状態周りの線形化逆作用素の二乗可積分な関数空間における有界性を用いてポテンシャル項を評価していたが、逆べき乗ポテンシャルの場合は特異性があるため同じようには評価できない。本研究では、線形化作用素を適切なソボレフ空間における有界作用素とみなすことにより、有界性による評価をポテンシャル項に適用できるよう修正し、軌道安定性を証明した。この手法は他の特異ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガーに対しても応用できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二つのべき乗型非線形項を持つ非線形シュレディンガー方程式や逆べき乗ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガーの定在波解の安定性についての理解が深まったため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は主に微分型非線形シュレディンガー方程式や、デルタポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の安定性解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルスの流行により出張旅費として支出できなかったため。 状況が改善され次第、出張旅費として使用する計画である。
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