研究課題/領域番号 |
20K14364
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
田中 吉太郎 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80783977)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 空間離散モデル / 連続化 / 拡散誘導不安定化 |
研究実績の概要 |
この研究課題の一つの目的は、空間方向の独立変数が離散量である数理モデル(空間離散モデルと呼ぶ)に対して細胞や格子の大きさの形状を保存したまま連続モデルに変換、または積分方程式で近似し、空間離散モデルの新たな解析手法や数理モデリングの方法を確立することである。 生物の発生現象等を再現して理解するために空間離散モデルが多く提案されている。空間離散モデルは一般に現象に対する再現性がよく、実験と相性がよいこと が報告されているが、離散的な構造が原因で解析が困難なことがある。このことを動機として本研究は、特性関数と平行移動作用素を用いて、周期境界条件付き 一次元一様格子上の空間離散モデルを同値変形で空間連続モデルに書き換える方法を考案した。昨年度1次元周期境界条件の場合で,この成果を論文としてまとめることができたので,今年度はこの手法の応用を主に取り組んだ. 当該年度は,空間離散モデルのパターン形成理論を構築するために,一様な格子(構造格子)上の空間離散モデルの反応拡散系を提案し,本連続化法を適用して,線形安定性解析を行なった.この解析結果から,連続モデルの場合とちがう条件で,定数定常解が拡散の効果によって不安定化を起こす(Alan Turingが提唱した拡散誘導不安定化)空間離散モデルの場合の一般的な条件を明らかにすることができた.この条件には,格子の長さが明示的に表れており,離散性に起因している特有の数学構造を明らかにできたと考えている.現在この成果を論文としてまとめている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一様格子上の空間離散モデルの拡散誘導不安定化の一般的な条件を明らかにすることができており,現在論文を執筆しているため.
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今後の研究の推進方策 |
空間方向の独立変数が離散量である数理モデル(空間離散モデルと呼ぶ)に対して細胞や格子の大きさの形状を保存したまま連続モデルに変換、または積分方程式で近似する方法を,1次元ユークリッド空間や高次元の場合に拡張する.
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機を発注したが,まだ納品されていないため. 海外出張と消耗品の購入に充てる予定である.
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