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【最終年度に実施した研究の成果】 初歩的な量子ウォークとしても知られる相関付きランダムウォークの時間発展を記述する離散方程式に対して,その連続極限を取ることでよく知られる3つの微分方程式「波動方程式」「拡散方程式」「電信方程式」が導出されることを示した.この結果は国際会議EASIAM2024で発表された. 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 本研究は,量子ウォーク理論をmax-plus代数で考えることで,量子ウォークの特徴量の抽出や新たな基礎理論の構築を目指し,そこから得られる応用的価値を探るものであった。研究期間全体を通じて得られた成果は以下の通りである。 (1)量子ウォークにおける状態の遷移や保存量の性質を継承した,max-plus代数におけるウォークモデルを構成することができた.(2)また,構築したモデルの極限分布を導出し,量子ウォークの極限分布における極端な特徴を抽出することができた.(3)量子ウォークの時間発展は行列のユニタリー性が重要となるが,max-plus代数においては直交性や独立性の概念がなかった.これに対して,固有空間においてではあるが,直交性と独立性に関する基礎理論を構成した。(4)これらの研究成果の応用として,相関付きランダムウォークの時間発展となる離散方程式の連続極限と超離散極限を考えることで,波に関する3つの微分方程式と制約付きの交通流モデルとみなすことができるセルオートマトンモデルがそれぞれ得られることを示した.
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