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2020 年度 実施状況報告書

磁気カイラル・メタナノ粒子における非相反電磁力学の構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K14380
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

黒澤 裕之  京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (20708367)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード非相反 / 光マニピュレーション / 磁性 / カイラリティ
研究実績の概要

磁性とカイラリティを同時に有するナノ粒子(以下メタナノ粒子)に働く電磁気力を解析的に導出した。まず、外部印加静磁場下でメタナノ粒子に対するラグランジアンを示し、オイラー・ラグランジュ方程式から系の運動方程式を書き下した。その結果、従来知られていた内部磁気カイラル効果による電磁気力に加えて、磁性とカイラリティがカスケード的に結びついたことに起因する非相反電磁気力が存在していることが分かった。具体的には、磁気カイラル効果によりポインティングベクトルの方向に依存した電磁スカラーポテンシャルが生じ、その空間勾配により電磁気力が与えられることが分かった。この電磁気力は電磁波のエネルギー流の方向に依存しており、偏光無依存かつ方向依存な電磁気力の定式化に成功した。
以上は磁気カイラル効果が生み出す電磁スカラーポテンシャルによる電磁気力であったが、電磁場の回転に起因する電磁気力の定式化にも成功した。具体的には、電磁場のスピン密度とカスケード過程および内部磁気カイラル効果に比例する電磁気力がメタナノ粒子に働くことが分かった。この力も偏光無依存かつ方向依存であり、磁気カイラル効果の特徴を明確に有していることが分かった。
磁気カイラル効果に加えて、磁性とカイラリティそれぞれがどのような電磁気力をメタナノ粒子に印加するかも明らかにすることができた。磁性が電磁場のスピン密度に比例する力を印加し、カイラリティがカイラリティの場と呼ばれる電場と磁場の内積の虚部の空間勾配による電磁気力をメタナノ粒子にそれぞれ印加することが分かった。
本研究成果により、これまで知られていなかった電磁気力が磁気カイラル・メタナノ粒子に働くことが示された。新しい光マニピュレーションが実現できる可能性があり、重要な成果であると言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、磁性とカイラリティを同時に有するナノ粒子を双極子として近似し、外部印加静磁場下でメタナノ粒子に働く電磁気力を解析的に導出することを目標として研究を行った。この目標はほぼ達成されており、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

初年度で磁気カイラル・メタナノ粒子を双極子として近似した場合の電磁気力を明らかにすることができた。今後は、メタナノ粒子の大きさが、双極子として近似できない波長帯における非相反電磁力学を明らかにする。
具体的には、磁性とカイラリティが同時に存在する場合のMie共鳴の理論を構築する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの流行により、発表予定であった学会に参加できなくなり、旅費の執行を行わなかった。これに対しては、次年度に今年度分も含めて多く外部発表することで計画的な予算執行を行う予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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