本研究課題では,強相関多体系において光照射によって生じる時間的・空間的ダイナミクス,特に微視的量子状態から巨視的秩序状態が形成されるプロセスに注目して理論的研究を行った。空間反転対称性を持つ磁性体においては遍歴電子を光電場で駆動することで非熱的な状態が実現し,平衡系において従来知られていたものとは異なる機構によってスピンスカラーカイラル状態や120度ネール状態などの様々な磁気秩序状態が誘起されることが見出された。また,同様に電子を光電場で駆動することで,反強磁性体の交替磁化方向の制御や,強相関系を含めた準粒子バンド構造の分光が可能であることも明らかになった。
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