本研究では極性構造を持つ鉄系梯子化合物BaFe2Se3の圧力誘起超伝導相に着目して,圧力下電気抵抗・圧力下磁気輸送特性を行った.その結果,軌道秩序に起因した極性構造が4 GPa程度の圧力印加によって抑制されること・圧力誘起超伝導相近傍のノーマル相においてホールドミナントな伝導を示すことを明らかにした.また,類似物質であるBaFe2S3との混晶系であるBaFe2(S1-xSex)3に対して電気抵抗率・磁化・光学伝導度・中性子回折の測定を行うことで,x = 0.23付近で軌道状態のフロップを生じることを明らかにした.さらに,新たな物質系としてBaFe2(S1-xTex)3の合成に成功した.
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