研究課題/領域番号 |
20K14398
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
井上 悠 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (90843342)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | トポロジカル絶縁体 |
研究実績の概要 |
トポロジカル絶縁体と超伝導体の接合を作製して、ジョセフソン接合を形成すると、電荷ゼロの粒子「マヨラナ粒子」として説明される量子力学的状態が現れると考えている。この量子力学的状態を物質中で自在に制御することで、エラーの起こりづらい量子情報処理が可能になると考えられており、注目を集めている。現状では、物質中でのこの量子力学的状態の観測を示唆する報告もあるが、議論が続いている状態である。本研究課題では、トポロジカル絶縁体と超伝導体の接合を作製することで、「マヨラナ粒子」として説明されるこの量子理化学的状態の物質中での観測をより確実なものにするとともに、それを量子ビットに応用することを目的とする。
2020年度は、このトポロジカル絶縁体の薄膜を用いたジョセフソン接合の作製に取り組んだ。リソグラフィの分解能を上げるために、加速電圧130 keVの電子線描画装置を使用して微細加工を行った。リフトオフの再現性を向上させるために、多層レジストを採用した。さらに、超伝導秩序がトポロジカル絶縁体薄膜に入りやすくするために、トポロジカル絶縁体表面の清浄化処理を組み合わせて微細加工を行った。こうした工夫を行うことで、超伝導間隔200 nmのジョセフソン接合を作製することが可能になった。
今後は超伝導電極の蒸着方法を工夫することで、微細加工の精度を更に向上させるとともに、トポロジカル絶縁体への超伝導秩序の注入に起因する、非散逸伝導の観測を行っていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス蔓延により、当初計画していた実験を行うことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2020年度に作製したジョセフソン接合素子を低温に冷却して、接合を介した非散逸伝導の観測を行っていく予定である。当初、海外の共同研究先で、極低温での電気輸送特性評価を行う予定だったが、新型コロナウイルス蔓延により実施が困難になった。そのため、最低到達温度が十分ではないが、研究室の低温冷却装置を用いて評価を行うことを先に行い、より最低到達温度の低い冷却装置が使用可能な、国内の研究施設を探すことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延により、計画していた実験を行うことができなかったため。次年度は今年度行うことができなかった実験を実施するために助成金を使用する予定である。
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