これまで励起子絶縁体の研究は光電子分光などによるバンドの直接観測をメインとしてきた。本研究では、元素置換によるバルク物性測定によるアプローチという点で意義がある。励起子絶縁体を証拠づける一つとして超音波吸収のコヒーレンスピークが挙げられるが、試料の薄さが原因で実験が不可能であった。本研究で作製した元素置換物質では超音波実験が可能な従来の10倍以上の大きさのものが得られ、今後、励起子絶縁体かどうかの検証が期待される。また、Ta2NiSe5は光誘起の絶縁体-金属転移を示し、オプトエレクトロニクスの観点からも注目されている。元素置換による金属化の起源を調べることで、応用への発展が期待される。
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