研究実績の概要 |
強磁性体とは対照的に、反強磁性体では量子力学的なスピン交換相互作用が支配的となり、THz領域・以上のマグノンを励起させる事が可能である。そのため、反強磁性体は超高速スピントロニクスの絶好の舞台となることが期待される。そこで、本研究では特に反強磁性絶縁体中のマグノンに着目し、光とマグノンとの相互作用だけでなく、両者の量子性の類似性を活用することで、マグノンの新たな光学物性・量子物性を包括的に明らかにした。さらに、強磁性体との差異に着目し、これら反強磁性体の研究で得られた知見を活用することで、ネール磁気秩序と同様に隣り合うスピン同士が互いに反平行の向きにそろっているフェリ磁性体中のマグノン量子物性を明らかにした。 これらの研究成果[1-6]を論文にまとめPRB, PRLから発表した([4-6]が最終年度の成果)。また、JPSJから「フェリ磁性体中のマグノンのトポロジカル物性」に関する招待レビュー論文を発表した。さらに「固体物理」からマグノンの熱磁気輸送物性(マグノンWiedemann-Franz則)に関する解説記事を発表した。 研究成果:[1]光学的マグノンBarnett効果の理論 [フェリ磁性体(光物性)] [2]量子Boltzmann方程式に基づくマグノンの熱輸送理論 [強磁性体(熱磁気物性)] [3]反強磁性体中の光学的マグノンJosephson効果 [反強磁性体(光物性)] [4]直線偏光レーザー照射下の直流・交流マグノンスピン流理論 [強磁性体(光物性)] [5]強い非線形領域におけるマグノンWiedemann-Franz則の破れ [強磁性体(熱磁気物性)] [6]フェリ磁性体中のマグノンCasimir効果 [反強磁性体・フェリ磁性体(量子物性)]
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