研究課題/領域番号 |
20K14421
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
玉造 博夢 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 任期付研究員 (20804967)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スピン誘導型強誘電体 / マルチフェロイクス / 一軸圧力 |
研究実績の概要 |
スピン誘導型強誘電体は、磁性と誘電性間の非自明な交差相関を示す機能性物質群であり、超低消費電力・高速応答の電子デバイスへの応用が期待されている。しかしながら、分極値の本質的な小ささが実用上の問題点の一つである。スピン誘導型強誘電体CuFeO2では、外場として一軸圧力を用いることで、電気分極を大幅に増大することが出来る。この分極増大は、昔から知られた単なる圧電効果によるものではないことが判明しており、一軸圧力によってFe-O間の共有結合性が増したことによる、磁気構造と結合した新しい機構による電子分極が新たに発現したためであると考えられる。本研究では、この新規電子分極の発現機構を解明し、実用上の問題点であった分極値の小ささを改善する新たなアプローチの確立を目的としている。研究代表者は、この目的達成のために、一軸圧力下におけるCuFeO2の結晶構造や、FeとOの電子状態を解明する必要があると考えており、一軸圧力下での放射光回折実験によってそれを達成しようとしている。
2021年度は、放射光回折実験用の一軸圧力印加装置の制作が完了した。当初の計画通り、本装置を用いた一軸圧力下での放射光回折実験を放射光施設(photono factory)にて行い、一軸圧力下におけるCuFeO2の結晶構造と、特にFeの電子状態について、新たな知見が得られつつある。
2022年度は、引き続き一軸圧力下での放射光回折実験を実施し、一軸圧力下におけるCuFeO2の結晶構造や、FeとOの電子状態の解明を進める。また、並行して電子状態・分極の計算にも取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、2021年度において、一軸圧力下での放射光回折実験を実施しつつ、この実験結果に基づいた電子状態・分極の計算を行う予定であったが、一軸圧力印加装置の製作に予定以上の時間を要したため、本装置を使用した放射光回折実験の開始時期が遅れ、電子状態・分極の計算は未実施となった。一方、一軸圧力下での放射光回折実験は予定通りに順調に進んでおり、本実験によって、一軸圧力下におけるCuFeO2の結晶構造と特にFeの電子状態について新たな知見が得られつつある。順調に進展している部分もあるが、電子状態・分極の計算まで至らなかったことから、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度に引き続き、一軸圧力下での放射光回折実験を行う。この実験によって、一軸圧力下におけるCuFeO2の結晶構造や、FeとOの電子状態の解明を進める。また、これらと並行して電子状態・分極の計算にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に、電子状態・分極の計算に使用するVASPソフトウェアのライセンスを取得予定であったが、本計算を実施する際に必要となるデータを取得するための一軸圧力下放射光回折実験の開始時期が遅れ、計算の実施まで進めなかったため、ライセンス取得に係る費用が次年度使用額として生じることとなった。次年度使用額は、ソフトウェアライセンス取得に係る費用として使用し、2022年度経費は、放射光回折実験及び試料加工用備品に係る費用として使用する。
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