研究課題/領域番号 |
20K14428
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高田 智史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00843757)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 破砕 / 離散要素法 / レオロジー |
研究実績の概要 |
本年度は初年度として今後行っていくシミュレーションの基礎を作ることに注力した。 最初に、破砕する粉体のモデル化を行い、それを用いて破砕が進行する様子を数値的に調べた。まず、1粒子を壁に衝突させるシミュレーションを行った。その結果、衝突速度により破砕度合いが異なるという実験結果と定性的に一致する結果を得た。次に、そのような破砕性粉体を多数集め剪断を加えることで破砕がどのように進行するかについて調べた。それによると破砕が進行することにより破砕後の粒子のサイズ分布が冪的になること、および破砕が進行しても系の剪断応力はほとんど変化しないことを発見した。 上記の剪断応力がほとんど変化しない理由についてはいまだに不明であるが、その解明に向けての準備段階として、粒子の変形がレオロジーに与える影響を調べた。変形を許容する粒子に対する運動論の構築を行うことで、フローカーブを理論的に導出した。その結果、サスペンション系においては剛体球の場合には見られない二段階の不連続転移が現れること、粉体ガス系においてはそれより高剪断領域で理論の適用が不可能になる臨界剪断率の存在を理論的に予測し、対応するシミュレーションとも良い一致を示した。 また今後の破砕進行の解析のために弾性論側からの準備も行った。粉体中で物体を掃引する際の抵抗則を調べ、物体が周りの粒子の影響で動かない場合・動く場合の解析を行った。特に動かない場合については、物体周りの応力と2次元弾性論によって得られる応力分布が良い一致を示すことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
破砕性粉体のモデル化およびそれを用いた簡単なセットアップにおけるシミュレーションを実行することができたため、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。また破砕を理解するうえで重要であると思われる変形の影響の解明や弾性論との比較なども行うことができたことは当初は予想していなかった成果であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当該年度で得られた結果をさらに発展・統合させることで、粉体内部での破砕の進行についてより定量的に調べていくことを考えている。具体的にはこれまでメインで行ってきたシミュレーションメインの解析を推し進めていくとともに、その結果を弾性論などの連続体的な描像で記述できるかについて調べていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で予定していた出張が中止/オンラインになったことがあげられる。 次年度使用額の使用計画としては、次年度分として請求した研究費と合わせて学会などへの参加費・旅費に充てることを考えている。
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