研究課題/領域番号 |
20K14430
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
植松 祐輝 九州大学, 理学研究院, 助教 (30830111)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 界面 / イオン / 物理化学 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、表面張力の精密測定に取り組むことで、他の手法では検出するのが難しい不純物を検出し、そのpH依存性や塩濃度依存性を調べるというものである。界面化学における基礎的問題であるだけでなく、水処理や海洋エアロゾルといった環境科学において重要であると考えている。前年度、製作した最大泡圧法による表面張力測定器を使って、水の表面張力を計測したところ、非常に良い精度で値が得られた。また、光学観測による懸滴法に基づいた表面張力測定も同じ装置を使って計測できるように改良し、水の表面張力を計測したところ、最大泡圧法より精度が悪いことが分かった。さらに、適容法に基づいた表面張力測定器を新たに導入しようと試みたが、納期が年度内に間に合わず、翌年度に持ち越しとなった。 このように2つの表面張力測定の実験系を構築し、それに付随する実験データ解析のプログラムも整えることができた。 また、従前から続けいている気液界面の電荷の問題に関して、英国物理学会の雑誌にレビュー論文を出版することができた。 この論文では、これまでされていなかった幾つかのハロゲン化アルカリ金属の水溶液の表面張力の実験データ解析や、流れによる界面イオンの歪みの理論と実験での比較といった、新たにおこなった研究も含まれている。 さらに別の文脈で研究していた油中水滴の電気泳動の研究において、不純物の影響がかなり大きいことが示唆される理論研究が完成し、論文出版にまで漕ぎ着けた。本研究課題においても重要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの測定方法に基づく実験系を構築し、実際に水について良いデータが得られている。一方で、3つ目の滴容法の装置導入は遅れてる。また、別に進めていた油中水滴の研究で、本研究課題にも及ぶ進展が有り、この点は予期していなかった。したがって、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
滴容法の装置導入をすすめるとともに、表面張力の電解質濃度やpH依存性を明らかにするための実験を系統的におこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度中に納品が可能と見込んで確保していた予算が、半導体不足の影響を受けて年度内納品が難しくなったため。
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