研究課題
最終年度は制作した最大泡圧法による表面張力測定装置を使って純水やpHを制御した水溶液の表面張力を測定した。また、界面に電場を印加したときの表面張力測定をするためにポテンショスタットを導入した。得られたデータは酸性側は概ね、先行研究と同じような傾向をしめしたものの、アルカリ性側は表面張力がpH変化に対して変化しないという結果を得た。これは、実験室空気の環境下で測定しているために溶液をアルカリ性にしても水の表面で二酸化炭素の溶解が置き、溶液のpHがアルカリ性であっても表面で酸性に変化している可能性が考えられる。また、実験精度の面では、非常に精度が高いものの、既存の販売されている装置と同程度のものしか得られなかった。これは気泡圧力と大気圧の差を測定するのではなく、それぞれを別の時間で測定しているために、大気圧のゆらぎの影響を受けていることが考えられる。以上、アルカリ性溶液の表面張力測定の場合は、窒素雰囲気下でする必要があることと、気泡圧力と大気圧を同時測定することでさらなる精度向上が見込まれることが、本研究で得られた知見である。研究期間全体を通じての成果としては、理論的な研究成果として表面張力のモンテカルロ法による計算の研究や、油中水滴の電気泳動移動度の計算の研究、また、界面のイオンに関する総合的なレビュー論文、またエンサイクロペディアに掲載予定の初学者向けの記事などを出版することができ、実験研究についても複数の表面張力装置を作成し、その精度等を比較検討することができた。当初の目的である、既存の販売されている装置を超える精度での表面張力測定を達成することはできなかったが、同程度の精度を達成することができ、得られた実験データに基づいて、今後、研究論文の出版につなげたいと考えている。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
Physics of Fluids
巻: 34 ページ: 122012~122012
10.1063/5.0131481
The Journal of Chemical Physics
巻: 157 ページ: 244704~244704
10.1063/5.0128696