研究実績の概要 |
無衝突衝撃波とは宇宙空間で発生する衝撃波現象であり,宇宙空間の高エネルギー粒子の生成起源であると考えられているが,その詳細な粒子加速過程は明らかにされていない。実験室で無衝突衝撃波を再現し,その物理過程を理解するためには,高速な無衝突プラズマ流を生成する必要があり,我々はパルスパワー放電を利用したプラズマ流駆動装置を提案している。2020-2021年度の研究実績では,小型プラズマフォーカス (PF) 装置を構築し,プラズマ流の発生を確認した。また,PF電極内に光ファイバーを設置し,受光素子としてアバランシェフォトダイオードを用いたプラズマ自発光計測系を構築し,PF電極内部でのプラズマの生成・進展過程を観測した。 本年度はPF電極終端にビーム電流計測器を設置し, PF装置で生成されるプラズマ流中のイオンと電子のパラメータ評価を行った。ビーム電流計測器はフラックスを制限するためのアパーチャーと, ビーム粒子を捕捉するファラデーカップで構成される。ファラデーカップに印加されるバイアス電圧を変化し, 測定されたビーム電流からV-I特性をプロットした。得られたV-I特性を静電プローブ法として評価した結果, 電子温度と電子数密度が得られた。また, ビーム電流計測器に電位グリッドを追加し, 電位反射型エネルギー解析を行った。その結果, イオンのエネルギー分布関数 (IEDF) を取得し, 本研究で構築したPF装置で生成されるプラズマ流の IEDF がshifted-Maxwell分布で近似できることが示された。 これらの研究成果を学術論文 1 報と国際会議での発表 2 報として報告することができた。
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