研究課題/領域番号 |
20K14441
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
朝比 祐一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (00824103)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジャイロ運動論的シミュレーション / プラズマ乱流 / 主成分分析 / 大規模データ処理 / 特徴抽出 |
研究実績の概要 |
本研究は、次元削減技術(主成分分析(PCA))を用いることで、第一原理的5次元核融合プラズマ乱流シミュレーションデータ中から特異的な位相(位置・速度)空間内構造を抽出することを目的とする。抽出した位相空間構造の時系列データの解析により、突発的な熱輸送現象と関連する位相空間構造の変化を発見する。 本研究で対象とする5次元時系列データは数10TB規模となり、通常はMPIなどの分散処理が必要となる。本研究では、大規模データ処理フレームワークDaskベースでIncremental PCAを実装することで、MPIなどの分散処理なしに、大規模データのPCAを可能にした。開発したIncremenal PCAは、Daskベースの機械学習ライブラリDask-mlにマージされた。 開発したPCAを5次元時系列データに適用し、位相空間基底と空間係数の時系列データへと分解した。データは約10TBから10GBまで圧縮されたが、累積因子寄与率は83%であり、元データの主要な構造については圧縮データでよく表現できることを確認した。圧縮データから熱輸送フラックスを再構築したところ、特定の主成分によってほとんどの熱輸送が引き起こされていることが分かった。また、この手法により、従来は高次元ゆえ可視化困難であったデータを位相空間基底(3次元)と空間係数の時系列データ(3次元)の組みとして表現することが可能となった。これによって、突発的な熱輸送現象と関連する空間、速度空間構造が明らかとなった。 本成果は、複数の国内および国際学会で発表された。また、査読付き論文誌にも掲載され、国内学会誌の解説記事も掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DaskベースのIncremental PCAを開発したことで、数10TB規模のPCAが可能となった。これにより、本研究の主目標であった、第一原理的5次元核融合プラズマ乱流シミュレーションデータ中からの特異的な位相(位置・速度)空間内構造の抽出については概ね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の主目標であった、第一原理的5次元核融合プラズマ乱流シミュレーションデータ中からの特異的な位相(位置・速度)空間内構造の抽出については概ね達成することができた。一方、現在の手法は大規模5次元時系列データをストレージに蓄積した後それを解析することを前提としており、極めて大規模なストレージ(>100TB)を必要とする。このような大規模ストレージはスーパーコンピュータにおいても通常利用することはできないため、データを保存せずその場で処理するin-situ処理が欠かせないことが明らかとなった。 次年度は、Dask解析スクリプトからMPIシミュレーションコードで計算されるメモリ上のデータへ直接アクセスすることで、in-situ Incremental PCAを試みる。大規模データの保存を回避することで、異なる物理条件での解析を可能とし、位相空間構造と突発的な輸送現象の関係がパラメータによりどのように変化するかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、参加を予定していた学会や打合せが全てオンラインとなり、旅費として予定していた支出が不要となったため、次年度使用額が生じることとなった。次年度使用額は、次年度分経費と合わせて、研究協力者との議論を行うための旅費や論文投稿及び国際学会における成果発表に係る費用として使用する。
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