研究実績の概要 |
本研究では,磁化プラズマ内部で生じる乱流の時空間構造と磁力線方向の流れシアの関係をレーザー計測やイメージング計測などの非接触計測を用いて明らかにすることを目的としている.1-2年目ではトモグラフィシステムの新たな較正手法を開発し,3年目にはトモグラフィ再構成データから揺動が示す非線形相互作用の時空間構造を抽出する解析手法の開発に成功した.最終年度である本年度は,これまでに開発してきた解析手法を活用して直線磁化プラズマ中で生じる揺動同士の非線形現象を詳細に解析した. トモグラフィで観測されたm=1,3,4,5揺動の空間構造の安定性および非線形結合の時空間構造を定量的に評価することを目的として,structure functionおよびmodal coupling functionと呼ぶ解析手法を開発した.これらの解析手法を適用した結果,m=3,4,5の揺動はプラズマ中心部から周辺部にかけて構造が安定していることが明らかになった.一方でm=1揺動はr=2 cm付近を境にコヒーレンスが急激に低下する傾向があることが明らかになった.この結果は,m=1揺動とm=3,4,5揺動が示す空間構造の時間発展が大きく異なることを定量的に示している.またmodal coupling functionもr=2cm付近で低下していることが判明した.これらの結果は,プラズマ中心部と周辺部で揺動同士が示す非線形結合現象がm=1揺動の時空間発展に支配されていることを示唆する結果が得られた.
|