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2023 年度 実施状況報告書

光渦を用いたECRHシステムの低損失な伝送方法の提案

研究課題

研究課題/領域番号 20K14444
研究機関日本大学

研究代表者

藤田 宜久  日本大学, 生産工学部, 助教 (20780711)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード光渦 / ECRH / 円筒導波管
研究実績の概要

本研究の目的は,プラズマ加熱に用いるための光渦の励起,ならびに適した伝送路の実現である.大電力ミリ波帯ではジュール損失などの影響から螺旋位相板やホログラムなどの既存手法を用いることができない.そこで,プラズマ核融合分野で実績のあるジャイロトロン(から出てくるガウスビーム)と導波管を組み合わせて,光渦を励起させることを目指す.2023年度は特に「ガウスビームを用いた光渦の励起」について新しい知見が得られた.具体的な内容を以下に示す:
1.カップリング計算により,ガウスビームの斜め入射だけでは光渦を励起できないことが分かった.そこで,光軸も半径方向にずらすことで光渦を励起できることを示した.また,複数のビームを点対称に入射することで,変換効率も向上することが分かった.
2.3次元の電磁波伝播シミュレーションにより,現実に近い状況でも光渦を励起できることを示した.また,光軸をズラしたことに伴い不要なモードも発生しているため,意図したモードのみを取り出すために十分な時間と適切な長さの導波管が必要なことも分かった.
上記2つの成果はいずれも国際学会「Compumag,JSST2023,ISPlasma2024」で発表しており,論文も執筆中である.今後の課題として,入射ビームの数には物理的に上限があり,不要なモードの低減には限界があることが分かった.そこで,可視光領域における既存手法との比較検討も行い,解決策を模索していく.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の成果である「カップリング計算」を改良し,適切な入射パラメータの同定を行った.さらに,数値シミュレーションにより3次元的にも光渦を励起できることを示した.これは,当初の目標である「ガウスビームを用いた光渦の励起」の実現可能性を示すことができたと言える.また,昨年度の課題であった「高次モードの発生に伴う変換効率の低下」に対して,複数のガウスビームを用いることで改善できることをも示すことができた.以上のことから,一定の成果が得られていると考える.
2024年度は残された課題である「プラズマ中における光渦の伝播特性」を明らかにしていく.また,周波数帯の違いから単純に比較することが難しい既存手法に対して,数値シミュレーションを用いることで提案手法との比較検討を行っていく.

今後の研究の推進方策

昨年度と同様に,成果発表に重きを置きつつも,以下3つの課題に取り組む.
・スパイラルミラーを用いる既存手法の定量的な評価
・光渦への変換効率の向上,高次モードの低減
・プラズマ中における光渦の電波特性の解明

次年度使用額が生じた理由

Compumagなどの国際会議はいずれも日本での開催であり,旅費を抑えることができた.また,余剰金の殆どは旅費として計上していたため,他の用途には当てていなかった.現在は研究成果の取りまとめ段階であり,論文の執筆中/査読待ちの状態であるが,残された資源の中で少しでも高みを目指すために,繰り越すこととした.2024年度も国内外問わず積極的に対外発表を行う予定であり,当該旅費ならびに論文掲載料として支出予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件)

  • [学会発表] Generation of optical vortex beams using waveguides2024

    • 著者名/発表者名
      Y. Fujita, H. Nakamura, H. Kawaguchi, Y. Goto and S. Kubo
    • 学会等名
      ISPlasma2024
    • 国際学会
  • [学会発表] 導波管を用いた光渦励起2023

    • 著者名/発表者名
      藤田宜久, 中村浩章, 川口秀樹, 後藤勇樹, 久保伸
    • 学会等名
      第4回光渦研究会
  • [学会発表] An Attempt of Spurious Suppression in Meshless Method2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Fujita, T. Itoh, S. Ikuno and R. Dong
    • 学会等名
      ISEM2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Angular Momentum Coupling of Tilted Gaussian Beam with Waveguide Mode2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Fujita, H. Nakamura, H. Kawaguchi and Y. Goto
    • 学会等名
      GPF-Aomori
    • 国際学会
  • [学会発表] Tilted Gaussian beam coupling with vortex beam mode in cylindrical waveguide2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Fujita, H. Nakamura and H. Kawaguchi
    • 学会等名
      JSST2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Numerical Investigation of Angular Momentum Coupling of Misaligned Gaussian Beam with Waveguide Mode2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Fujita, H. Nakamura, H. Kawaguchi, S. Kubo and S. Ikuno
    • 学会等名
      Compumag2023
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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