研究課題/領域番号 |
20K14448
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
瀬戸 春樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 核融合炉システム研究開発部, 主任研究員(定常) (90733692)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 境界層プラズマ / プラズマ乱流 / ダイバータ配位 / 核融合プラズマ / 簡約化Braginskiiモデル / 数値シミュレーション / 統合コード / 非線形計算 |
研究実績の概要 |
周辺MHD乱流数値計算コードBOUT++においてエッジ・境界層プラズマのプラズマ乱流とプラズマ乱流の非線形結合から生成されるトロイダル方向(ドーナツ状のトカマクプラズマの大円周方向)に対称な二次元構造を持った流れの相互作用を整合良く取り扱うために開発した計算手法を長波長成分の流れに適用できる様に拡張した。従来のBOUT++コードでは長波長成分の流れの計算から生じる数値不安定性を回避するためにトロイダル方向にN回(N=4~5)の対称性を課しているが、乱流構造のトロイダル方向のスペクトル空間上の解像度が対称性の回数Nで制約されるという問題があった。本拡張はこの制約を解消するものであり二次元周辺輸送コードと三次元周辺乱流コードを結合した統合周辺輸送コードを開発する本課題において、長波長成分の取り扱いは輸送コードで計算されるトロイダル対称の二次元の場と乱流コードで計算される三次元の場を整合良く接続するために重要である。 ダイバータ熱負荷の数値計算に必要となる熱源駆動型の簡約化Braginskiiモデルに基づく乱流コード開発に関しては中国科学院プラズマ物理研究所との共同研究を通して勾配駆動型の簡約化Braginskiiモデルに基づく乱流コードの提供を受けた。令和2年度は熱源駆動型の乱流コードへの拡張に向けた勾配駆動型の計算コードの解析と拡張方法の検討を行った。また、二次元輸送コードの開発は三次元乱流コードのトロイダル対称成分の実装を元に実施する予定であるが、コード開発を加速させるためにBOUT++コードによる三次元乱流コード及び二次元輸送コードの開発実績がある米国ローレンスリバモア国立研究所との国際共同研究を令和3年度から実施するための手続きを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では令和2年度に勾配駆動型の簡約化Braginsikiiモデルに基づく三次元乱流コードにプラズマ乱流の非線形結合から形成される二次元構造を持った流れの生成を整合良く取り扱うための計算手法を導入して、二次元構造を持った流れが周辺乱流及びダイバータ熱負荷に与える影響について明らかにする予定であった。しかしながら、本課題遂行中にBOUT++コードのダイバータ配位用の計算格子作成プログラムにおいてセパラトリックス内側のコア領域において計算領域端に周期境界条件を課すために用いる物理量の計算方法に問題があることが明らかになった。原因の特定と解決に想定以上の時間を要したため研究計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は計画を一部変更して、勾配駆動型の簡約化Braginskiiモデルに長波長成分の流れの取り扱いを改良する手法を実装して周辺乱流シミュレーションを行い、乱流の非線形結合から生成された二次元構造を持った流れや長波長成分の流れが周辺乱流及びダイバータ熱負荷に与える影響を検証する。並行して令和2年度に行った熱源駆動型モデルへの拡張に向けた検討に基づき、上記の数値計算で得られる知見を取り入れつつ、熱源駆動型の簡約化Braginskiiモデルに基づく乱流コードを開発する。 令和3年度後半に米国ローレンスリバモア国立研究所を訪問して熱源駆動型の乱流コードと二次元輸送コードの開発ならびに両者を結合した統合コード開発に関する議論を行う計画であるが、新型コロナウイルス感染症の状況によっては令和4年度以降に訪問を延期する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による出張制限のため、計画当初予定していた出張(中国科学院プラズマ物理研究所)が実施できなかったため次年度使用額が発生した。 令和3年度は中国科学院プラズマ物理研究所への出張は別予算で実施できる見込みのため、次年度使用額は令和3年度から本課題に基づく共同研究を開始する米国ローレンスリバモア国立研究所を訪問するための旅費として使用する。
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