研究実績の概要 |
・μ-τ reflection対称性という一般化されたCP対称性をup-typeクォークとdown-typeクォーク別々に課し、いくつかの仮定を世代構造に課すことによって、CKM行列の混合とCP位相をほぼ説明した。同じ対称性と構造をレプトンセクターに仮定すると、MNS行列の混合も説明でき、予言としてディラック位相 δ_{CP} ≒ 202度、最も軽いニュートリノ質量としてm_{1} ≒ 2.6 or 6.2 [meV]、二重ベータ崩壊の有効質量として|m_{ee}| ≒ 1.24 or 0.17[meV]が得られた。これらの物理量はハイパーカミオカンデなどの将来実験による検証が期待される。 ・そこから等価な基底変換を行うことによって、diagonal reflection symmetriesという標準模型における新しいCP対称性を提案した。この基底において、直前の研究の仮定はよく知られたfour-zero texture (m_{f})_{11} = (m_{f})_{13,31} = 0 for f=u,d,e,νとなった。このシステムはレプトンセクターに8パラメーターしか持たないので、既存の観測量からニュートリノの物理量をすべて予言できる。さらに、同様の構造をニュートリノ湯川に課すと、シーソー機構により右巻きニュートリノの質量行列 M_{R}も決定できるため、宇宙のバリオン非対称を説明するレプトジェネシスへの応用が期待できる。 ・Lμ-Lτ模型においては、Hubble tensionと(g-2)_μ anomalyを同時解決できるようなパラメータが存在するかを探索した。新たな軽い粒子としてMajoronとZ'を考えた場合に、実験による有効ニュートリノ数N_{eff}への制限からパラメータ空間に対してどのような制限がつけられるかを議論した。
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