研究課題/領域番号 |
20K14465
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
DODELSON MATTHEW 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (40835617)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | String theory / black holes / conformal field theory / AdS/CFT / 二点関数 |
研究成果の概要 |
本研究の目的は有限温度共形場理論の二点関数に発生しうる特異点を研究することである.私は大栗博司教授とともに,有限温度共形場理論の二点関数の計算をブラックホール背景での揺らぎの計算にホログラフィー対応を用いて帰着することで実行した.計算の結果,ブラックホールを周回する光の軌道に対応する光円錐のため,存在しえない特異点が発生するという矛盾を発見した.また,この矛盾を弦理論を用いたより詳しい解析によって解決した.具体的には,ペンローズ極限と呼ばれるブラックホール時空の解析に適した極限を用いて,弦理論が正しく偽の特異点を消すことを示した.
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自由記述の分野 |
String theory
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
共形場理論は理論物理に普遍的に現れる重要な構造であり,実験的にはイジング模型の相転移点など二次相転移付近の物理に現れることが知られている.共形場理論を特徴づける量は相関関数であり,この構造を理解することが重要である.一方,本研究まではどのような特異点が二点関数に起こりえるかという疑問に精密な回答がなかったが,我々はこれまで知られていた特異点以外の特異点が発生しないことを示した.この研究によって,共形場理論の構造への理解が深まった.また,実験による検証可能性による新たな展開も存在する.共形場理論は理論物理以外の分野にも応用があるため,我々の結果はより広い文脈でも重要な可能性がある.
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