「天の川銀河中心に存在する大質量天体の正体はカーブラックホールなのか、そうでなければいったいなんだろうか?」という問いに対し調査を行った。 調査には天の川銀河中心を周回する星(S0-2)に注目し、その星の運動に関する観測データを理論予測と比較するという手法を用いた。本研究で用いた重力理論にはKitamura el al.(2013)で考えられている重力場モデルを参考にした。このモデルは一般相対性理論も含めた統一的な議論をすることができるだけでなく、本来予定していた「エリスワームホール」、「ブレーンワールドブラックホール」そして「f(R)理論でのブラックホール」の一部のモデルも含むことができる。昨年度に引き続き、当該年度もすばる望遠鏡での観測機会に恵まれなかったため新しい観測データが得られなかったが、すばる望遠鏡だけでなくKeck望遠鏡やVLTの観測データも含めた比較ができるよう、理論曲線でのフィッティング方法を改良した。また、昨年度は3つのパラメータでこの重力モデルの一般相対性理論からの拡張を表現していたが、扱っている観測データの精度では3つのパラメータのうち1つに制限をつけることが困難であることがわかったため、パラメータの数を1つ減らした。 また改良した計算コードを用いてモデルパラメータの推定を行い、観測データは一般相対性理論を基にした理論予測を否定しないことが分かった。この成果は2021年9月に行われた日本物理学会年会で報告した。
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