今後の研究の推進方策 |
標準理論の場合を参考にし、異なる対称性をもつ3種類のTwo Higgs doublet modelと2種類のHiggs singlet model での2体2体散乱の1ループ補正を計算し、摂動ユニタリティの高次補正の解析計算を完成させ、それぞれのモデルでの研究を論文にまとめる。そして、THDMとHSMの摂動ユニタリティと真空安定性の制限を評価するFortranコードを作成し、既存のヒッグスボソンの崩壊分岐比計算プログラムに結合させる。更に、付加的な重いヒッグス粒子の崩壊分岐比(H→hh, H→WH+, H→ZA)を電弱量子補正の効果とQCD補正を含めて計算し、計算プログラムに取り入れる。 計算プログラムが完成したら、各模型の発見された125GeVヒッグス粒子の各種崩壊過程(h→bb, h→cc, h→ττ, h→WW, h→ZZ, h→γγ, h→gg, h→gγ)の崩壊分岐比の標準理論値からのずれと未確定パラメーター依存性(付加的ヒッグス粒子の質量、ヒッグス場の混合パラメーター等)を計算プログラムを用いて詳細に調べる。特に研究目的に記した対称性の極限で各種崩壊過程がどのような振る舞いをするか調べる。各種崩壊過程の標準理論値からのずれの振る舞いのパターンで、対称性の識別を行う。また、そのずれは将来の精密測定で識別可能かどうかを明らかにする。更に、付加的な重いヒッグス粒子達の崩壊分岐比の高輝度LHC実験による探索可能領域を精査する。付加的ヒッグス粒子の直接探索と発見されたヒッグス粒子結合定数精密測定、そしてパラメーターに対する理論的制限の3方向からの現状の制限、将来の探索領域、対称性の識別方法を研究し、論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止に伴う措置により、共同研究の研究打ち合わせのための出張と、国際会議や学会等での研究成果発表のための出張を取止めたため、次年度使用額が発生した。 研究打ち合わせのための国内出張(大阪大学など)(130,000円×3回=390,000円)、研究発表のための国内学会・研究会への参加(80,000円×2回=160,000円)で、旅費におおよそ550,000円使用する。物品購入は、デスクトップパソコン(300,000円)、グラフ作成のためのソフトウェア(300,000円)、論文等印刷のためのトナー代(100,000円), 書籍等を計画している。
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