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2021 年度 実施状況報告書

デジタル量子計算を用いたゲージ理論の相構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K14479
研究機関大阪国際工科専門職大学

研究代表者

富谷 昭夫  大阪国際工科専門職大学, 工科学部, 助教 (50837185)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードQCD相図 / 量子コンピュータ / 素粒子物理学 / 原子核物理学
研究実績の概要

素粒子標準理論の一部である量子色力学(QCD)は、クォークなどのフェルミオンが結合したゲージ場の量子論で記述される系である。QCDの温度や密度等の外部パラメータに対しての物理量の応答を知ることは宇宙の熱史や星の進化を調べることに繋がり、近年の宇宙観測の進展と合わせて重要さを増している。物理量の温度や密度に対しての典型的な応答をまとめた図を相図と言うが、QCDの温度に対する応答は古典コンピュータを用いてよく調べられている。一方で密度に関する物理量の応答は符号問題とよばれる問題により、古典コンピュータを用いての解析が困難である。量子コンピュータを使用すると符号問題は避けることができるが、温度への応答を調べることは一般的に難しい。そこで当該年度はBetaVQEと呼ばれる変分量子アルゴリズムに着目し、フェルミオンの結合した量子的なゲージ理論の温度と密度に対して相構造を調べた。具体的にはQCDとよく似た性質をもつシュウィンガー模型と呼ばれるトイモデルの相構造の一部を解明した。また一方で、4次元のQCDに対してもカイラル対称性を保った有効模型でのパラメータの応答を調べ、相構造の探索を行った。具体的には特に南部ヨナラシニオ模型などを用いて、標準理論のクォーク質量の特殊性を明らかにした。特に有限温度での感受率がクォーク質量を変えたときの応答を調べた。またクォーク質量が軽い場合に弱い磁場の下で新たな相転移が生まれる可能性を調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度は着任も重なり、十分な研究時間が作れずに研究活動に遅れが生じた。また現在は解決済みだが、数値計算の環境構築にも問題が生じてしまったことも遅れの原因であった。それにより数値計算コードの作成や先行研究探索の時間をうまく取れず結果として研究計画に遅れが生じてしまった。一方で遅れはあったものの、シュウィンガー模型の有限温度密度での相図の一部を成果として得られた。当該成果はプレプリントとしてarXiv で公開されており、現在投稿中である。

今後の研究の推進方策

数値計算コードの改良やアルゴリズムの再検討し、計算を実行する際の効率を上昇させることにより遅れを回復する。また前年度の研究では考慮していなかった演算子を計算することにより、より精細な相図を描く。加えて使用した変分アルゴリズムの改良を行うことで更に効率よく相構造の解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

前年度は着任にあたりまとまった研究時間が取れず、出版費用を使うことがなかった。またコロナ禍の影響もあり、研究活動を行うための研究議論のために出張を行うことが出来なかった。そのため前年度は研究費を計画通り使用できなかった。今年度は、研究成果の発表、具体的には論文出版費や出張費、および計算機の計算資源使用費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 物理科学,この1年 20222022

    • 著者名/発表者名
      パリティ編集委員会編 大槻義彦編集長
    • 総ページ数
      204
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      978-4-621-30686-4

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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