研究課題
本研究では、安定同位体であるルビジウム87とルビジウム85を同時にレーザー冷却・光格子トラップし、同じ環境下で原子干渉計を構成し、デコヒーレンス時間の質量依存性を精密検証することで量子重力理論の実験的検証に挑む。研究期間内に、①冷却光源・光学系と周波数安定化機構、②磁気光学トラップ(MOT)用の真空チェンバー及び観測系、③光格子用光源・光学系、④ラムゼー測定用マイクロ波源(あるいは2光子誘導ラマン光源)及びタイミング系・観測系の各種開発・評価、⑤デコヒーレンス時間の測定及び質量依存性の検証、の手順で研究を進める。2020年度は①と②を取り組み、冷却光源を整備するとともに、ルビジウム87及びルビジウム85のそれぞれのMOTに成功した。2021年度は、③と④に取り組み、自作用イッテルビウム添加ファイバ増幅器の部品選定・調達、および、短期安定度10^-11@10秒以上の基準信号源の選定を行った。2022年度は、③と④をさらに進めた。③光格子用光源・光学系の開発・評価イッテルビウム添加ファイバ増幅器を自作し、出力10 Wを達成した。また、光強度安定化回路を自作し、実装した。現在、MOTから光格子へのローディング効率を上げるために系全体の最適化を進めている。④ラムゼー測定用マイクロ波源及びタイミング系・観測系の各種開発・評価短期安定度が10^-12@10秒の基準信号源を調達した。また、長期安定度に優れたルビジウムクロックを、一時的に地下実験室から持ち出しGPS校正を受けられるように、バッテリー内蔵型筐体への組み込みを行った。
3: やや遅れている
基準信号源(恒温筐体組込高安定水晶発振器)の調達に時間を要したため。
2023年度前半に③と④を完成させ、後半に⑤に取り組み、最終目標であるデコヒーレンス時間の質量依存性の精密検証を行う。
次年度使用額が生じた理由:研究期間の延長に伴い、研究遂行に必要な額を次年度に残す必要があったため。次年度使用額の使用計画:ラムゼー測定の最適化を進める上で必要となる、光学部品、電子部品等の購入費として使用する。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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