研究課題
本研究では、安定同位体であるルビジウム87とルビジウム85を同時にレーザー冷却・光格子トラップし、同じ環境下で原子干渉計を構成し、デコヒーレンス時間の質量依存性を精密検証することで量子重力理論の実験的検証に挑む。研究期間内に、①冷却光源・光学系と周波数安定化機構、②磁気光学トラップ(MOT)用の真空チェンバー及び観測系、③光格子用光源・光学系、④ラムゼー測定用マイクロ波源(あるいは2光子誘導ラマン光源)及びタイミング系・観測系の各種開発・評価、⑤デコヒーレンス時間の測定及び質量依存性の検証、の手順で研究を進める。2023年度は③と④に取り組み、偏光勾配冷却(PGC)と光双極子トラップ(ODT)を達成した。Rb原子をPGCによってドップラー限界温度(Rbの場合146 uK)以下の3 uKまで冷却させることで、波長1064 nm、光出力7 W、ビームウエスト径35 umのレーザー光で形成したトラップ深さ350 uKのODTに移行効率3 %で装填させることに成功した。今後は、1064 nm光をミラーで折り返し定在波にすることで、1次元光格子トラップの実証実験を行う。光格子では、トラップ深さが4倍になるため移行効率の向上も期待される。また、②の構成について、Rb原子供給源を当初のディスペンサーからアンプルに変えることで供給力強化を行うとともに、併せて当初の1段型MOTシステムから2段型に変えることで、ラムゼー測定を行うMOT真空槽内(2段目)の真空度が10^-9 Pa以下になるように改善した。これらの改造により、尋問時間10 s級のラムゼー測定を長期にわたり実行可能な環境を整えた。
4: 遅れている
尋問時間10 s級のラムゼー測定を長期にわたり実行可能にするため、当初のMOTシステム(Rb原子供給源:ディスペンサー、構成:1段型MOT)から新しいシステム(Rb原子供給源:アンプル、構成:2段型MOT)に改造した。それらの改造作業に時間を要したため。
2024年度は⑤に取り組み、最終目標であるデコヒーレンス時間の質量依存性の精密検証を行う。
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RIKEN Accelerator Progress Report
巻: 56 ページ: 108
CNS Annual Report
巻: 2021 ページ: 43-44