研究課題
本研究では、η′ 中間子の原子核密度中での性質変化の情報を引き出すことを目指し、η′ 中間子と原子核の束縛状態(η′ 中間子原子核)の探索・分光実験を、ドイツGSI重イオン研究所にて実施した。実験の分光感度を先行研究よりも大幅に向上するために、12C(p,dp)反応を用いたη′ 中間子原子核の分光実験の新たな手法を考案し、この実験を実現するために、大立体角のWASA検出器と高分解能磁気スペクトロメータFRSを組み合わせた新たな実験セットアップを開発した。このうち、特に本課題では、運動量スペクトロメータとして用いるFRSにおける粒子識別検出器とデータ収集システムのトリガー回路を新規開発した(1年目)。2年目には、GSI研究所のSIS-18シンクロトロン加速器から供給される2.5GeVの陽子ビームを用いて、η′ 中間子原子核の探索・分光実験を実施して、当初予定した統計量のデータを成功裏に取得した。3年目、4年目には、データ収集回路系の較正のための事後測定を実施した後に、取得したデータの解析を進めた。データ解析の結果、本課題で開発したFRSスペクトロメータにおける粒子識別検出器については、当初の設計性能(時間分解能 < 50ps)を達成し、大量にバックグラウンドとして存在する陽子から、重陽子(d)を識別することに成功した。また、同時に、大立体角のWASA検出器の解析を進め、FRS側の解析と合わせることで、η′ 中間子原子核の励起エネルギー分布を求めることに成功した。
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Il Nuovo Cimento
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