研究課題
点像分布関数の逆畳み込みに基づく画像高解像度化ソフトウェアを開発した.本ソフトウェアを用いて,すばる望遠鏡の広視野カメラ Hyper Suprime-Cam (HSC) の画像を高解像度化させたところ,ハッブル宇宙望遠鏡 (Hubble) の画像と同程度まで空間分解能を高めることができた.高解像度化 HSC 画像と Hubble 画像を比較して,本ソフトウェアの性能を調べると,赤方偏移 z>2 の明るい合体銀河を ~90% の高い完全性 (completeness) で同定できることが分かった.性能評価の結果を受け,HSC の広領域探査で見つけられた静止系紫外線で明るい銀河の合体/非合体形態分類を行なった.形態分類における完全性,汚染率 (contamination rate),前景/背景銀河の写り込みの効果 (chance projection effect) を考慮し,z~4-7 の銀河合体率 f_merger を測定すると,静止系紫外線で明るい銀河と対照サンプルである暗い銀河の f_merger の間に有意な差異は見られなかった.本研究結果から,先行研究で報告されている z~4-7 の静止系紫外線で明るい銀河の個数密度超過は,主に銀河合体ではなく別の物理現象 (例えば,遠方銀河における非効率な星形成フィードバックや低いダスト減光効果) に起因することが示唆される.本研究の画像高解像度化の手法や f_merger の測定結果を学術論文として纏めた.
2: おおむね順調に進展している
画像高解像度化ソフトウェアを開発し,広領域探査データを用いた遠方銀河形態の研究を開始することができたため.初期結果を学術論文として纏めることができたため.
点像分布関数の逆畳み込み以外のアルゴリズムによる画像高解像度化ソフトウェアを開発する.静止系紫外線で明るい銀河の f_merger 測定だけでなく,狭視野装置で調べることが困難な,遠方銀河の形態的性質について研究を行う.
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 8件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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