研究課題/領域番号 |
20K14533
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大橋 聡史 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (50808730)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 原始惑星系円盤 / 原始星円盤 / ダスト成長 |
研究実績の概要 |
本研究は原始惑星系円盤のリング構造に着目し、その形成とそこでのダスト成長について調べている。 本年度は、ALMA Large Projectの一つであるFAUSTデータを用いてVLA 1623-2417の原始星円盤の形成過程について調べた。 原始星円盤は星の形成母体である分子雲コアが回転していることで、角運動量保存から星の周りの円盤構造を形成すること考えられている。そこで、VLA 1623-2417星形成領域の分子雲コアと原始星円盤の回転構造を調べた。その結果、両者には15度程度の回転軸の違いを発見した。一方で、偏光観測からは磁場の向きが円盤と垂直であることが示唆されているため、この天体では分子雲コアの回転軸と磁場が不揃いであることが示唆される。よって、円盤は回転軸よりも磁場と垂直方向に形成することを観測から明らかにした。 一方で、原始星円盤の形成初期でもダストが成長する可能性を付着成長シミュレーションによって、Ohashi et al. (2021)で示したが、その観測的証拠を得るため、L1489とL1527原始星円盤の多波長観測データを解析している。その結果、原始星円盤の外側では星間ダストと似た傾向を示し、ダスト成長が進んでいないが、内側の半径20-100 au領域ではリングのような構造をしていることを発見した。この結果はOhashi et al. (2021)の計算と整合的であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原始星円盤でダスト成長している可能性が見えてきた。 これはOhashi et al. (2021)で示してダストの成長前線を示している可能性があり、原始星円盤で惑星形成が開始していることを示唆する。
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今後の研究の推進方策 |
観測と理論計算によるダストサイズを比較することで、Class 0/I円盤で観測されているリングの形成メカニズムを明らかにすることができる。 今後はALMAの観測プロポーザルを積極的に行い、原始星円盤のリング形成をダストの付着成長で説明可能なのか、多波長観測によって明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の世界的な影響によって国際研究会や、国際共同研究の遂行が難しく、旅費に充てていた費用を使用できなかった。 今後は、世界的な状況を踏まえながら、オンライン会議へと適用していくためにモニターやPCの拡張を行っていく。またALMAやVLAの観測データも届いてくる予定なので、大規模容量のストレージを増やす。
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