研究課題
若手研究
本研究では透過型電子顕微鏡と関連回折/分光分析により、鉱物中の欠陥と水素の相互作用をその構造とナノ空間分布から統合的に解析する環境を構築した。これを用いて水素イオン照射した鉱物試料を解析し、鉱物中の損傷および水生成の複合プロセスを顕微的観点で示した。これらの結果は、今後のリターンサンプル分析・解析に直接的に適用可能なものとなった。
地球惑星物質
月や小惑星表層で太陽風の水素と鉱物中の酸素との結合による水生成プロセスが提案されてきたが、鉱物の照射損傷過程も含めた原子レベルでの水素の蓄積・反応・水生成過程についてはよく分かっていなかった。本研究では模擬試料の電子線位置分解回折・分光に基づき、これを初めて顕微的観点からの説明を与えた。また、本研究で構築した分析技術基盤は今後のリターンサンプル分析・解析に直接的に適用可能な水準に達し、今後広く活用されていくことが期待される。