火星由来の玄武岩であるシャーゴッタイト隕石の地球化学的研究により、その親マグマを生成した火星マントル中のソースリザバーの情報が得られる。本研究では、火星マントルの化学進化プロセスの解明を目的として、シャーゴッタイト隕石の鉛同位体組成分析を行った。これまでの研究から、火星マントル中には鉛同位体的な不均質が存在していることが明らかとなった。この地球化学的な不均質は、火星マントル中に存在する2つの端成分リザバー間の混合によって形成されたと考えられる。この結果は、火星マグマオーシャンの固化後のマントル対流が、火星マントルが均質化される前に停止したことを示す。
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