原始太陽系円盤の物質輸送を理解するため、彗星をプローブとして研究を行った。彗星の形成温度は、揮発物質の主成分であるH2O・CO2・COの存在量比から、彗星核の形成距離は鉱物組成から、ダストの性質はコマの偏光度の空間分布からそれぞれ推定した。これらの手法を21P彗星に適用した結果、同彗星は他の彗星と同定の距離にもかかわらず暖かい場所で形成されたことを示した。この手法を他の彗星に適用することで原始太陽系円盤の物質輸送について統計的な議論を進める。また、形成温度の推定のために開発した物理モデルをC/2014 Q2彗星のコマの空間分布に適用し、NH3が二次的に生成されていることを明らかにした。
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