本研究は、はやぶさ2中間赤外カメラTIRによる小惑星リュウグウの観測データに基づいて、母天体(微惑星)の熱進化および内部構造進化を明らかにするための手法を構築することが目的である。高解像度のTIRデータを用いて、リュウグウ表面の岩塊の熱慣性、および経験則に基づいて空隙率を求めることに成功した。微惑星の熱進化計算では、多孔質粒子層の圧密過程を計算に取り入れることで、最終的な母天体の空隙率分布を推定した。これらのリュウグウの観測データと熱進化計算のパラメータスタディの結果を照合することで、母天体となる微惑星のサイズ・形成年代を制約できることを示した。
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