本年度は溶媒条件について検討し、Rh分析の前濃縮法の確立を目的とした。分析で用いる樹脂は、1.5 M AcOH 100 ml、MQW 100 ml、0.05 M NaOH 100 ml、MQW 100 mlを順番に通液することで洗浄した。洗浄した樹脂は内径4 mm、高さ10 cmのテフロンカラムに詰め、MQW 10 ml、コンデショニング溶液10 mlを通液した後、1 ppb Rh溶液10 mlを通液して容器に集めた。MQW 5 mlを通液しカラムを洗浄した後、溶離液25 mlを通液して再び容器に集めた。この際、流速は1 ml / min となるよう調整した。得られた試料は溶出体積が約0.1 ml以下になるまで蒸発乾固させ、5% HClで1.5 mlとなるようバックグラウンド調整し、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて測定を行った。この実験において、通液したRhの量に対して吸着したRhの割合を吸着率、Rhが溶離し回収できた割合を回収率とする。 Rh試料溶液における吸着溶媒として0.0005 M AcOHを用いることで、約98%の吸着率が得られた。この要因としては、低濃度では樹脂における、官能基のプロトン化を抑えることができたことと、AcOHとRhが二座配位することで反応性が上がったことが考えられる。また、溶離液として2 M以上のAcOHを用いることで、約97%の回収率が得られた。したがって、実験室レベルではあるが十分な前濃縮法を確立できたといえる。
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